エロマンガ家インタビューの歴史(簡易編)
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【ラテ欄】RaTe先生の「少し不思議エロ...

2009
『マンガ論争勃発2』発売記念 緊急インタビュー エロマンガの明日はどっちだ!
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■「エロマンガの国」に危機が迫っている!?

エロマンガと猥褻、規制問題は切っても切り離せない、歴史のなが〜い関係(^_^;

いや、私も難しい話は苦手です。でも、エロマンガという題材を扱っている以上、エロとは何だ、猥褻とは何だ、有害とは何だ!ということは、少なからずも理解していく必要はあるとは思っています。

昨今、児童ポルノ法を発端とするさまざまな、規制問題、表現問題、人権問題がびみょ〜に一人歩き、徘徊し、それに対するミスリード、マスコミ批判、とただでさえ難しい問題が、より訳のわからない問題にふくらんでいます。

いや〜はっきり言って、エロの事だけ楽しんでいたい私にとっては頭の痛い状況…(  ̄- ̄)

でも、逆に言えばエロをもっと楽しみたいから故に、この辺のことはもっと知っておかないとダメなんだろうと思い、先頃発売された『マンガ論争勃発2』の著者のお二人に直接お話を聞こうと、緊急インタビューを決行いたしました(^_^;

『マンガ論争勃発2』の簡単に紹介すると、エロマンガを含む、オタクコンテンツ文化が現在抱えるいろいろな問題を、その問題に関わっている、詳しい方にとにかく話を聞きに行くというテーマの本になっています。

特徴的な部分は、例えばある問題に関して、反対と賛成の立場の人がいるとしたら、両者の意見をしっかり聞いているという点。とにかく、なにより「いろんな意見を集めた」形になっています。

かんなぎ騒動の記事もあるぞ!


かんなぎ処女騒動」らき☆すた、などから火が付いた、「聖地巡礼&萌え地域復興」のお話、もちろん、「規制の問題」、「マンガと学問」、「図書館」、「スクールデイズ」の話まで、とにかく多種多様な話が読めて、非常に内容の濃い本になっています。

インタビューは13日、東大赤門の前の茶店で行いました。

ゲストプロフィール
永山薫
1954年生まれ。マンガ評論家。日本漫画学会正会員。コンテンツ学会正会員。近畿大学商経学部経済学科卒。主な研究と考察の対象はマンガにおけるセクシャリティとエロティシズム、江戸後期から明治にかけての錦絵と戯画、大正、昭和の挿絵。趣味は古楽から現代音楽までの音楽鑑賞。本名の福本義裕でも評論家、作家、編集者として活躍中。
著書:『エロマンガスタディース「快楽装置」としての漫画入門』(イーストプレス)他。
(マンガ論争勃発2 の著者紹介より)

ゲストプロフィール
昼間たかし
1975年生まれ。ジャーナリスト。著作家。脚本家。日本漫画学会正会員。コンテンツ学会正会員。東京大学大学院情報学環境学部研究生。主な取材対象はコンテンツの法的規制問題、オタクの文化史、ファシズム史、亜細亜主義など。地域批評家としても活動する。
編著:『日本の特別地域①東京都足立区』(マイクロマガジン社)、『日本の特別地域②東京都葛飾区』(マイクロマガジン社)。
脚本:『おやすみアンモナイト貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』(監督・増田俊樹。2009年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭フォーラムシアター部門招待作品)
(マンガ論争勃発2 の著者紹介より)


■とにかく話を聞こう!対立じゃない「対話」だ!

稀見:今日は急なインタビューのオファーをお受けしていただいてありがとうございます。
昼間:よろしくお願いいたします。
永山:よろしくお願いいたします。
稀見:まずは今回出版された『マンガ論争勃発2』、またその前の『マンガ論争勃発』が取り扱っている概要、テーマ、目的などを簡単に紹介していただけますか?
昼間:今、エロマンガだけでなく様々な表現をめぐる問題において、反対にせよ、賛成にせよいろいろ意見が対立しています。けれどその割には、何故かみんな話し合っていないと… 特に21世紀に入ってからは「体感治安」のブームを経て、自分にとって心地のいいもじゃないもの受け入れないというフィルターがあってあたりまえの風潮になっています。そのために、異なる意見の人と話し合うことが少なくなっている。そういう流れに「風穴」を開けたいというのが、この本の1つの目的だとは思います。
永山:報道も含まれるんですが、内容がどんどんわかりやすい方向に流れていって、そうなると最終的には、賛成か反対という2つの意見に集約されてしまうんです。ようするに2極化してしまうんです。でも、実際は中間派というか、条件付き賛成や反対という単純化されない意見が多いだろうし、そもそも関心がない人も多いわけです。白黒ハッキリさせちゃうような単純でわかりやすい意見を大きな声で唱える人たちばかりが目立ちますが、それは決して全体を代表するようなものではないでしょう。
昼間:受け手の方も問題がないわけではありません。やはり、誰もがいうわかりやすい意見ばかりに注目してしまう。
稀見:報道やネット上のニュースなどでもどうしてもそういう賛成か反対、0か1という流れになりやすくなってしまいますよね。どうしても全体像がぼけてしまう部分は確かにあるんですよ。
永山:なので、この本の言いたいことは本当に単純な事で「とにかく人の話を聞きましょうよ、みなさん!」と言うことなんですよ。決して、どんな立場(反対、賛成)を取れという強制ではなく、話聞こうよ、耳傾けようよ、という単純な部分ではあるんです。
稀見:それは、この『マンガ論争勃発』シリーズで一貫して主張してこられたことですよね。そう言う意味では、今回もそうですが「反対派」の方の意見がしっかり載っていて、それをしっかり読めると言うのは非常に勉強になります。全面戦争で「勝つための戦い!」みたいなイメージ(笑)がありますが決してそうではなく、いろんな人のさまざまな意見が読めると言うのは、全体として何が起こっているかというのを理解するために、非常に参考になります。
昼間:まさにそこで、世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方を持っているんだな〜と言うことを、この本を読んで理解してもらえたらな〜(^_^; とは思ってはいます。

■今すべきこと、できること!

稀見:今のネット上のニュースに対する反応や、発言を見ていると、何かはしたいんだけどどうしたらいいかわからない人という人が多いような気はするんです、主に規制反対側の方が多いとは思うんですが。
ま、もちろんまずは、この本を読め!(笑)というのはあるとは思うんですが、読んだ後にできることみたいな事はありますでしょうか?
昼間:誰もが今すぐ「行動」することは難しいと思いますから、まずは現状を詳しく知っていくことも必要でしょう。今回の『マンガ論争勃発2』ではページの都合で参考文献一覧を割愛しましたので、ブログで公開しています。http://www.mangaronsoh.com/archives/70785.html
そこから面白そうなものを見つけて読んだり、インデックスとして使っていただいたりと、まずは基礎的な情報を学んでいただければと思います。
永山:「表現規制」「表現の自由」という問題は人間が文化を有して以来のずーと続いている綱引きなので、短期的に考えるよりは、もう少し長いスパンで考えて、もちろん閉塞感にとらわれて何かしなくてはと言う気持ちが優先してしまうかもしれないけど、まずはよく考えましょう! 情報をたくさん集めましょう! 勉強しましょう! そういう自分を鍛えることから始めないと、どうしても「声の大きな人」に引きずられてしまう、と言うことになってしまいがち…
稀見:基本的にオタク達は戦いは好きじゃないし、面倒な部分はあるとは思うんですが、まずは情報の共有、勉強から始めるというのが比較的簡単かもしれませんね。
昼間:そういう意味では、この本で「読書会」「勉強会」みたいなものを開くとか、大いに使っていただきたいですね。とにかく物事をよく知っておかないと反対も賛成も中身のないものになってしまいますよ。

■BL界も注目してほしい

永山:社会情勢的にいろんな問題がありますが、この手の規制問題というのは、年金問題や派遣社員のリストラとかの問題と並べると、危機感は比べものにならないんですよ。
ぶっちゃけ、国民の99%の人にとってはどうでもいいことなんですよ。
稀見:基本的には、無関心な人が多いとは思います。でも、少なくとも同人(表現)する人達にとっては他人事として見てほしくない部分はありますよね。わかっていればいいんですが、全然自分には関係ないことだという誤解があると怖いですね。
そう言う意味で今回の本で気になったのが「BL(ボーイズ・ラブ)系」に関係する話題や、インタビューが多かったのが印象的でした。

BL系記事の一部


永山:エロマンガ(男性向け)の方は、比較的昔から叩かれてきた(笑)歴史があったんだけど、BLの方は最近ようやく可視化されてきた部分がある。層的には昔から非常に大きなジャンルだったにもかかわらず、規制とは関係ない、と思い込んでいる人も多いというのはありますね。
昼間:昨年は堺市の図書館問題もありましたし、自分たちの問題でもあるんだと言う事を感じてくれればいいとは思いますね。

■せっかくなので「エロマンガ」の話題も…(^_^;

稀見:せっかく永山先生にインタビューさせていただいているので、やはりエロマンガの話題も少しお聞きしたいと思います。
今、ネットで「エロマンガ」を語りたがっている人が増えてきていると思いますが、先生はこのような現象についてどうお感じでしょうか?

永山:まずメリットについてだけど、僕の時代は何より仕事でやっていたので、本を経費で買ったり、献本してもらったりしていたんだけど、ブログ上のレビュアーの方は何より「自腹」で本を買ってそれについて語っているという点に意味があると思う。もちろん、どっちがすばらしいという意味ではないけど、自腹で買ったものついて語れる強みがあるとは思います。
デメリットについては、逆に仕事でないぶん、嫌いな作品まで買って読む必要がないと言う部分。そう言う意味ではどうしても偏りがでてしまう。そう言う意味では、多くのレビュアーさんに出てきてもらいたいと思う。そうすれば偏りはある程度是正されるとは思いますね。
稀見:確かに、永山先生の時代には他にエロマンガのレビューを行っている人がほとんどいなかったので、比べることができなかった、と言うのはありますよね。それが、今の映画批評のような立場の、いろいろなひとのクロスレビューとして、選択して読めると言う流れは新しいのかもしれません。
永山:1つ注意してほしいことは、あまりマイナーに走りすぎて、売れているエロマンガを軽視しないでほしいと言うこと。マイナーで面白いマンガを発掘することも、もちろん大事だけど、売れているマンガが何故売れているのか、と言うことを考えることは非常に大事だと言う事。
稀見:それは僕も気になっていますね。特に自分のリビドーとリンクしない作品が爆発的に売れると、気になってしょうがないです(^_^;

いや〜ほんとに貴重なお話ありがとうございました。面白すぎて書けない話がほとんどでしたが(笑)、そう言う話はイベントに行けばまた聞けそうなので楽しみにしています。本当にありがとうございました!
昼間:ありがとうございました。
永山:ありがとうございました。

■イベント告知 5月19日(火)発売記念トークライブ

『マンガ論争勃発2』発売記念イベントが5月19日(火)に「ASAGAYA LoftA」で行われます。私、稀見理都も参加しますので、見かけたら声をかけてください(^_^;

【日時】
5月19日(火)
Open 18:00 / Start 19:00
前売り:¥1300(飲食代別)
当日 :¥1500(飲食代別)

【会場】
ASAGAYA LoftA
東京都杉並区阿佐谷南1−36−16ーB1
JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分
電話:03-5929-3445
http://www.loft-prj.co.jp/

詳しくはこちらをご覧下さい。
http://www.mangaronsoh.com/archives/57488.html

■著書紹介

編・著:永山薫・昼閒たかし
発行日:2007年12月31日
1,500円(税込)


編・著:永山薫・昼閒たかし
発行日:2009年5月1日
1,500円(税込)


著者:永山薫
発行日:2006年11月3日
1,600円(税込)

 
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