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2010
データで振り返るエロマンガ2009年
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ども、稀見理都です。

去年も行いましたが、成人向けコミックについて、去年1年間のデータからその全体の動向、傾向などを読み取る企画を今年もやってみましょう〜

エロマンガを数字でみる!というアプローチは、売上TOP10などのランキングものはありますが、全体を通して眺めて考察している人はあまりいないんですよね。
いや、もちろん出版社の編集などは、売上の傾向、数字には非常にデリケートだとは思いますが、そういうのは外には出ませんからね〜(^_^;

という事で非常に簡単ですが、ちょっと別の視点から、去年のエロマンガ界を総括してみましょう!

データソースは、去年同様「まんが王倶楽部」さんの成人コミックリストを勝手にパースして、データベースに取り込んで集計しています。
ちなみに成人コミックの定義は、いわゆる黄色い「成人マーク」の印がついているコミック(注:形の違うものも若干あります)の事を示します。

あと、わかりにくいので「アンソロジー」は含めていませんが、初回限定版、復刻版、新装版、おまけ付き特典版、などは1つにまとめてなく、別々に扱っています。

では一番わかりやすい、年間別成人コミック出版数のリストを見てみましょう!

年間成人コミック出版数リスト


去年2009年が一番下の黄色い部分です。
ご覧の通り、出版数が激減しています。これが不況のせいなのか、政権交代のせい(笑)なのかははっきりとは断言できませんが、横ばいだった数字が下降線に転じた事は確かです。

注目ポイント「1冊の平均単価」ですが、こちらは出版数が減ったにもかかわらず、毎年上昇傾向にあります。昔は1,000円ぴったりという感覚が大きかった単価ですが、最近は消費税込み1,050円というのが目立ってきている感じはします。

販売数が伸びやなんでいる分、単価で稼ごうという傾向でしょうか?
ただ、本だけではなくおまけなどを付けて単価が上がる本が多くなってきたのも確かなので、そういう影響がある事も確かでしょう。

次に、出版社別単行本発売数ランキングをみてみましょう!

出版社別コミック発売総数ランキング


やはりコアマガジン強いです。多くの雑誌、強力な作家を抱えている出版社はやはり強いです。2位、3位も順当でしょうか…

ただ、明らかに去年のランキングと異なる点がある部分は「松文館」さんです。去年は1位だったのに、今年は10冊と急に、箱根駅伝でいえばシード落ち状態です。これは、やはり男性向けアダルトコミックからの撤退の影響と言ってもいいでしょう。数字からもわかる、実に残念なランキングではあります。


さて、今回はちょっと変わったデータも用意してみました。
こちらは、ファンというよりは作家さんの方が気になるデータかもしれません。

2009年に初単行本を出した作家一欄


2009年に始めて成年コミックを出版した作家だけを集めてみました。ただ、結構ザルなので、もしかしたら、漏れ、過去に出している作家さんもいるかもしれません。また、ペンネームを変えて!という作家さんもいるかもしれませんが、そこまではさすがに裏が取れなかったので、データ的に初単行本を出している、という事で大雑把にまとめてみました。

全部で90名います。わかりやすく言うと、1ヶ月に7.5人の割合で新人作家が初単行本を出した計算になります。この数字が多いのか、少ないのかは各年代別にもう一度まとめなおさないとわからないので、それは別の機会に…

でも、新人が出てくるスピードは私の感覚では、あまり変わっていない、むしろ増えているような気はします。しかし、じゃ初単行本を出せた新人が2冊目をどのくらい出せているかというと、そこは逆に少なくなっているように感じます。

最近は「即戦力」が要求される事が重要なポイントになってきて、作家を育てている時間がない!とよく言われています。この辺の噂が本当なのかは、この辺のデータをもう少ししっかりまとめてみる必要がありそうです。


では、逆に2009年最も単行本を出している作家さんは誰でしょうか?

2009年3冊以上単行本を出版している作家一欄


単行本単位で、2009年に3冊以上単行本を出している作家さんでまとめてみました。ただ、1年単位だとたまたま原稿が複数の出版社で溜まって同時にでると言う事はあるので、あまり参考にはならないかもしれません。

あと、最近の傾向ですが、やはり初回限定版、新装版、総集編などの通常版とは違う形態で出す事も多くなってきているので、そういう物が重なればおのずと冊数も増えます。

ベスト3の、三条友美、わたなべわたる氏などは、総集編もありますがいまだに現役で精力的に活動されていて、感心いたします。上藤政樹氏の出版スピードはいまだに謎です(^_^;
これはこれで別格かと…

3冊といっても、新装版や、初回限定版の方も多いのですが、地道に頑張っている作家さんもいます。個人的に凄く活動していたな〜と思った作家さんは「命わずか先生」と「ジョン・K・ペータ先生」でしょうか…
どちらの作家さんも、マニアックなファンの多い個性的な作家さんですが、そういう先生が活躍しているという事がわかると、ちょっと嬉しい気持ちになります(^_^;



最後におまけですが、去年出版された成人向けコミックで一番価格の高かったものはなんでしょう?

答えは…

「せめ・ちち マイクロファイバータオル付き限定版」


「せめ・ちち マイクロファイバータオル付き限定版」(著:エレクトさわる)で、4,980円です(^_^;

あ、でもこれはずるいですね。本の値段と言うよりは、おまけの価格で抱き合わせなので(笑)
ちなみに、どんなタオルかというと…

「せめ・ちち」付録、マイクロファイバータオル


これ、修学旅行に持っていったら、ヒーローになれますね(笑)



では、おまけ抜きで一番価格の高かった成人向けコミックは…

「ウホッ!!いい男たち(2) ヤマジュン・未発表作品集」


山川純一先生の「ウホッ!!いい男たち(2) ヤマジュン・未発表作品集」3675円でした~(^_^;

こちらも、やや反則ですかね(笑)
でも、ちゃんと成人向けコミックなんですよ。普通にメロンブックスとかに山積みになってましたし〜

ということで、オチ?もついた事で…
また、新しいデータを発見しましたらお知らせします。
 
133 ero

Re:データで振り返るエロマンガ2009年
>そもそもエロマンガ家の定義ってないんですよね。
東京都のどこぞかの委員会にまかせたらいいんじゃないか、とたまに考えることもあります(笑)
成年向けマーク、コンビニで青いテープの封印がついたもの、さらに出版の後に有害図書指定を受けたものをエロ漫画とし、それらの作家をエロ漫画家と定義する。
とても、すっきりしたものになります。
この基準にあてはめるとヤングマガジン烈、ヤングアニマル嵐そしてチャンピオンREDいちごはエロマンガ雑誌ではない、と決めることが出来ます?!
…。だめだめですな。
加えて、2/24のブログに書いておられたような、チュー学生日記の一話まるごと配信といったものも、確実に増えてくるはずなので、エロ漫画のレギュレーションについては、まだまだ悩まなくてはなりません。
2010-02-24 18:32:43 | CommentBy byj6
Re:データで振り返るエロマンガ2009年
byj6 様

>有害図書指定を受けたものをブログにまとめて
私も裏でこっそりまとめていたんですが、よりわかりやすくまとめられていて助かりました(^_^; 松文館さんの例のシリーズがずば抜けていますが(笑)

>エロ漫画家にいったいどのように反映させるべき
そもそもエロマンガ家の定義ってないんですよね。自己申告ぐらいしかないので、そこからして難しいです。読者が彼(彼女)はエロマンガ家だ!と言っても、本人がそう思うかは別問題なので…

仮に「成年コミック」を1冊でも出している!と定義しても、実は指摘のように、電子書籍の問題がありますし、そもそも「成年コミック」という制度以前の作家さんの扱いなどもあって、そう簡単に定義することもできないでしょう。

>議論の過程それ自体に意義を見いだせる
私は十分に意義がある考察だとは思っています。あくまで研究としてですが、いろんな人がより多くの考察をすることで全体が見えてくることはよくあることなので、議論の裾野を広げていく意味でも語っていくべきでしょう。
2010-02-24 10:04:15 | CommentBy 稀見理都
Re:データで振り返るエロマンガ2009年
興味深く拝見させていただきました。
>集計対象外となっているものが代わりに増えているからではないかと
最近私も成年向けマークの無いエロマンガ=東京都から有害図書指定を受けたものをブログにまとめてみましたのでご参考までに。
http://d.hatena.ne.jp/byj6/20100218/1266504297
これ以外にもう一つ悩ましいのが、電子書籍や携帯コミックのエロマンガで、はてなキーワードの"リスト::エロ漫画家"にいったいどのように反映させるべきか考えております。
http://d.hatena.ne.jp/byj6/20100209/1265695712
松文館がティーンズ向け(これもエロマンガにいれるべきかどうか? 悩ましいことです)を含めたシリーズ物を電子化しており、レギュレーションの問題はこれからのエロマンガを語る上で避けては通れないと覚悟しております。
結論が出ないことは、なんとなく予想がついているのですが、議論の過程それ自体に意義を見いだせると思うのは、楽観的すぎるでしょうか?
2010-02-23 19:12:03 | CommentBy byj6
Re:データで振り返るエロマンガ2009年
橘様

>集計対象外となっているものが代わりに増えているからではないかと
いわゆる「一般系微エロ」というジャンルの単行本ですが、18禁じゃないヤング誌の増加に伴い、この辺の単行本が増えているのも確かだとは思います。ただ問題なのは、微エロとそうじゃない物の線引きの定義が実はありません。セックスシーンがあれば微エロか?と言うわけでもないので、感覚として増えている気はするかもしれませんが、データ化するのが難しいです。

それに定義を決めたとしても、あまりにも書籍が多いので、全てのマンガをチェックして、数値化するのがかなり難しいです。
ただ、無視できないポイントではあるので「こういう傾向にある!」という理由、原因などを考察する事は十分意味があるとは思っています。あとは、誰かやって…と(^_^;
2010-02-22 23:49:38 | CommentBy 稀見理都
Re:データで振り返るエロマンガ2009年
まずは集計作業お疲れ様でした。
個人的に感じたのは、2009年の成年コミック刊行数が減っている背景に関しては、集計対象外となっているものが代わりに増えているからではないかと。
たとえば以下のような書籍ですが、
http://www.mangaoh.co.jp/catalog/213680/
http://www.mangaoh.co.jp/catalog/208494/
http://www.mangaoh.co.jp/catalog/208916/
これらは内容的にはそこらの「成年コミック」よりもよっぽど「実用的」のように感じられますが、いわゆる「成年マーク」はついておらず、価格も700円前後と割安です。
こういったケースの増加も関係しているように思われますが、いかがでしょう?
2010-02-22 23:19:14 | CommentBy 橘
あけましておめでとうございます!
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