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2009
オナホールは2次創作の夢を見るか?
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去年のコミケ(C75)の3日目、西館。ちょっと気になっていたサークルがあったので覗きに行ってみた。そう「オリジナル・オナホール」販売サークルである。

何を持って「オリジナル」か? というのは少し難しいが、少なくとも既製品をそのまま売っているわけではないので、コミケ的には問題ないということだ。

3日目、西館のサークル「汁屋」で販売との事前のニュースから、私もどのようなものか気になって、昼前に覗きに行ったのだ(^_^;

すると、なんと言うことか、目的の通称「オナホ」はすでに売り切れていた! これが、本当のオナホとしての需要なのか「ネタ」としての需要なのか? 今だアフターレポートがないのでよくわからないが、あまりの人気に正直びっくりした。

そもそも、同人誌のように大量生産ができる代物ではないので、数が少ないと言うことは確かだが、そのぶん単価も高い。

コミケでの新しい「オタク物品」として興味があるのでいろいろ調べてみると、いろいろな意見があることを知り、コミケにおける2次創作のあり方という事について改めて考える必要があるかもしれない、と感じ自分なりにもまとめてみた。


■そもそもオナホールって何?

この記事を読んでる方にはもうほとんど説明はいらないとは思うが、一応簡単に書いておく。(と言っても,写真ぐらいだけど)



これは、今回のコミケで売られていたオナホではなく、秋葉原にもあるアダルトグッズ専門店「M's Shop」で売られているものだ。

見ての通り、男性のオナニーを介助(手助け?)するための道具である。(^_^;

最近の「オナホール」はパッケージに「アニメ絵」を用いるものが結構増えてきているが、もちろん実写の女の子をパッケージにしている従来のものも多い。

私が学生の頃にはこんな実用的? な「オナホール」はまだなかったと言うか、まだこんにゃく! とか言っていた世代だ(^_^;
オナホールの材質の進化が、オナホール自体の進化に繋がったことは確かである。

使い方は、もうさすがに説明はいらないだろう(^_^;


■何が問題なのか?

オナホールをコミケで販売したのは実は今回が初めてではない。1回前の(C74)コミケにてマンガ家の田丸浩史氏が「クリアちくわ」と名づけたオナホールを販売したが、このときは販売したオナホールが、既製品をパッケージのみを差し替えて販売したことが問題になり、コミケ運営側から注意を受けたとのことらしい。

なので、今回は既製品ではない「オナホール」であったので、そういう意味の注意ではなかったとのことだ。ただ、工場に発注をかけているらしいことは書いてあるので、どこまでが創作品なのか?と言う部分の疑問は未だに残る。

では、何が問題だったのかというと、コミケ運営側からではものではなく、どちらかというと同じ参加者の方からだ。

もともと、コミケでオナホを売っていいの? 何でもありなの? などという、疑問や「嫌悪」的な意見はあったが、創作物としての「オナホ」に疑問を感じる意見が出始めた。

ブログ「きょうの団地妻」の団地妻さんから以下のような意見があがった。

少なくともわたしは、このオナホから原作に対する愛やリスペクトが伝わってこない。
キャラや作品をモノとしてしか見れていないように思えて仕方がない。
本来許されるべきではない二次創作がどうして原作と共存しているのか、よく考えて欲しいと思った。
ブログ「きょうの団地妻」冬コミ感想、からの抜粋

団地妻さんの言いたい部分は、オナホールを販売するにあたり、パッケージに描かれていた「とらドラ」は特に何でもよく、オナホール販売ありきで立てられた企画であったという部分が、元ネタに対する「愛とリスペクト」がなさ過ぎるのではないか? と言う部分である。

2次創作はあくまでオリジナルに対する「愛と尊敬」があるべき「オマージュ」でなければいけないのではないか! という部分において、コミケの理念に反している。もしくは、2次創作の理念に反しているのではないか? と言う指摘でもあると思う。

私は、単なる性的な処理道具としての「嫌悪」の方が意見としてでやすいのかと思っていたので、こういう「創作」という切り口で意見が出たことに少し驚いたが、逆に「コミケ」らしい部分でもあるかも、と感じた。

では、オナホはコミケの理念に反しているのだろうか?

まさに、そのコミケの理念が載っているページがあるので参考にしてみよう。

このページのPDFにコミケの理念が書かれている。

  • マンガ、アニメ、ゲーム、小説及びその周辺ジャンルにおける表現の可能性を追求するメディアとしての同人誌、営為の結実としての作品。それを一般に向けてのアピールする場
  • コミックマーケットに「お客様」はいない
  • コミックマーケットをとりおこなうのはすべての参加者であり、 内実を作っていくのも全参加者
  • 参加者全員はすべて平等
  • コミケットは表現において自由な場であらなければならない。自由を守る立場を貫いていかなければならない
  • 自由な空間であるために、参加者の自主性と共に各自のモラル、マナー、常識、自覚が必要
  • コミックマーケットとは何か? P26〜P27の一部抜粋

    これを読む限り、コミケの理念としては、2次創作に関する「リスペクトと愛」に関する項目はない。位置としては、抱き枕や最近ではアクセサリー、人形などを作るサークルと同じ扱いであり、全てのサブカルチャーを受け入れる事自体が、コミケの理念と言えよう。

    そもそも「愛とリスペクト」をどのように判断するのか? と言う意味においては、基本的な基準などはなく、まさしくどう感じるか! と言う部分でもある。

    3日目のいわゆる「エロ同人」ジャンルは、基本「おかず」メディアの要素も多く、それがオリジナルに対する「愛」なのか?  「偏愛」も「愛」のうちだ! となれば、それも通ってしまう。

    また、BLに関しても、創作ならまだしも、いわゆる「やおい系」パロディーBLなどの2次創作は、オリジナルに対する個々の愛であり、オリジナル本人が望んでいるかどうかはとりあえず二の次だ。

    それを言ったら、全ての2次創作がそういう状況になるのが現在のコミケのパロディー系の同人誌でもある。

    よくコスプレをする人が言う「本人になりきるための努力(世界観を学び、設定を理解する)」というオリジナルへの「愛とリスペクト」の話を聞く。かつ、生地から買ってきて自分で制作する事が、さらに愛を深めるのだと!

    となると、オリジナルを知らないで単に既製品を着ているだけの「コスプレ」は2次創作の理念に反することになる。

    こういう例を挙げると、基準などが明確に引けない、個人の価値観にかなりゆだねられる部分が大きいと言うことも理解できる。


    ■じゃ、やっぱり何でもありなのか?

    と、コミケにおけるオナホの販売は、現時点では「コミケ的」には問題ないと言うことはわかったが、それでは「団地妻」さんの主張は間違っているのか?

    私はそうは思わない。感覚としてはどちらかというと「団地妻」に近い。2次創作という、ある意味かなりのグレーゾーンにある「創作」の位置にて、表現者にとって、何が表現でどういう理念があるか?と言う部分はやはり常に持っていてほしい部分でもある。

    私自身は、2次創作をしたことがないので、そのへんの「愛とリスペクト」に関してはあまりうまくは語れないのだが、やはり影響を受けた作品や、好きな作品に対する、自分なりの表現の仕方! と言うものに関し意識することは、何か表現する人にとっての1つの義務ではないかとは思う。

    近年、コミケ当初の自由な創作という「場」から人気のあるジャンルへのシフト、利益追求型の表現、と言う部分がやや目立ってきている感じはする。もちろん、それがいけないとは言わない。ただ、常に「それでいいのか?」という気持ちを持ちつつ、何かを表現してほしいと思うのが、この問題にたいして感じた私の思いでもある。

    それが、たとえ「オナホール」であっても…


    ■アダルトグッズとコミケ

    「オナホ」というもの凄く直接的な「アダルトグッズ」が出てきたコミケではあるが、基本的にはもうコミケ当初から、ある意味アダルトグッズの祭典と言ってもいいのがコミケだったとは思う(^_^;

    コミケ後の日本のオナニー回数は一時的に急増しているのではないかと、勝手に思っているほどではあるが、今後このような「オナホール」型のグッズがコミケでどのように発展していくか、また、運営側、もしくは表現側が、また議論しどういう方向性を持たせるかという意味においては、非常に気になる話題ではある。

    次回のコミケは、この点にも注目して見ていきたいと思う!
     
    20 ero

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