ども、
稀見理都です。
更新が遅れるとか言っておいて、すぐに書いていますが、明らかに「
逃避」行動です。(^_^;
実はこのブログのプログラム制作と同時に進めている企画があります。それは「
エロマンガ・データベース」です。
と言っても実はすでに「
エロ漫画データベース」というサイトがすでにあり、現時点で1万冊を越えるデータがそろっているすばらしいサイトなのですが、個人的にはもう少し細かい検索、みんなが共有できるシステム、WEBサービスなどで使いたいと考えて、個人的に構築しているんです(^_^;
基本的には、自分でデータをいろいろ検証したいために自分なりのデータベースが作りたいんです。そこで、ようやく過去5年に間に発売された「成人向けマンガ」の
基本的なデータの入力してみました。
といっても手入力ではなく、エロマンガの販売にもの凄く力を入れてる、八王子の「
まんが王倶楽部」さんの
WEBデータを使わせていただきました。
どうでもいい話ですが、このマンガ王倶楽部さんの成人マンガのページの新刊レビューの熱の入れ方は尋常ではないです。とても仕事という範囲で行っているとは思えないぐらい
強烈な「愛」を感じます(^_^;
そこで、2002年から2008年までに発行された、4,532冊(アンソロジーは除く)について、ちょっとデータベースならではの簡単な統計などをとってみました。
■まずは全体の数字を見てみよう!
「成年マーク」のはいったマンガという範囲で、2002年から、2008年までに発売された単行本に関する全体的なデータになります。ただし、アンソロジー本、ヤング系青年向けは入っていません。
この4,532冊がコミック市場においてどのくらいの数字なのかというなのかまでは調べることができませんでしたが、何より驚いたのが、作家人数が1,682人もいると言う事でしょう。
ただ、あくまでデータ的な数字なので、ペンネームを変えて何冊も本を出している人もいますので、本当に正確な数字とは言えない部分はあります。
また出版社も意外に多く65社存在しました。もちろん、もう存在していない出版社や、名前を変えたりする場合もあるでしょうが、初めて聞く名前の出版社なども結構ありました。
では、年度別で見てみるとどういう傾向が見えるでしょうか?
年度別の出版本数は特に右肩上がりというわけではなく、だいたい600冊台に留まっています。出版不況はエロ業界は関係ない? いや、発売タイトルのみの数字なので、
部数まではカウントされていません。故に、実際に流通している部数との比較を見ないことには、エロマンガが売れているのか、やはり他の出版業界と同じく厳しい状態なのかは言えないでしょう。
ただ言えることは、発売タイトルの
平均単価は上がっていると言う事です。さりげないところでは、2年ぐらい前は税込みで1,000円ぐらいだった本が、今は
税抜きで1,000円になっていたりすることが多くなっている気はします。
売れない故の単価の高騰なのか、紙の材料の単価が原因か、そのへんは微妙ですが、確実に値上がり傾向にはあるようです。
■出版社、個人ランキング
今度は、出版社別、作家個別で少し見ていきましょう。
出版社別、発売タイトル数ランキングになります。ただ繰り返しますが、これはタイトル数であって、発売部数ではありません。なので、ランキングが高いから儲かっている会社!と言うわけではないです。
やはり松文館、コアマガジン、茜新社あたりは強いですね。この辺はある程度予想通りというか、多くの雑誌、作家を抱えている出版社は上位に来ます。
次に、作家別のランキングをみてみましょう。この6年間で、最も単行本を出している作家さんは誰なのでしょうか?
1位の「上藤政樹氏」が
55冊とずば抜けています。しかし、正直この数字が出るまで情けないことに、この作家さんの事をほとんど知りませんでした。これには若干ややこしい出版事情があります。
6年で55冊といったら、1.3ヶ月に1冊のペース!そんなことが可能なのか?
しかも「
虹の旅出版」から半分以上出ています。
彼はもともと同人作家で、同人メインでマンガを描いているらしいのですが、自分の同人誌を正式なマンガとして出版するためだけの出版社を設立し、今まで描いた同人誌などをどんどん出版しているようです。
なので「虹の旅出版」から出ている本はほぼ全て上藤政樹氏のものしかありません。
同人誌を専門店で売るのではなく、自分で出版社を立ち上げ、本屋の流通に載せて販売するという、ある意味エロマンガ界の「ガロ」状態です。
ただ、印税100%ではありますが、もちろん経費もかかるので実際この方法が経済的に有利なのかどうかはちょっと不明なところはあります(^_^;
【追記】
「美少女ゲーム年代記」のおおいし氏からご指摘があり、「虹の旅出版」に関する私の記述に間違いがあることがわかりましたので、ここで訂正させていただきます。
おおいし氏のご指摘の通り、「虹の旅出版」は松文館(船長氏が「ハーフリータ」の編集長をしている時代)から船長氏が退職し、その彼によって設立された出版社であり、当時の松文館で活躍されていたマンガ家の方なども多く出版をされていましたが、現在(2002年以降)はほぼ上藤政樹氏しか出版のリストがない状態です。
詳しくは、おおいし氏のブログ(「虹の旅出版」ならびに『ハーフリータ』についての覚書)に詳しく書かれていますので、ご参照ください。
また、思い込みによって間違った記述を載せてしまい「虹の旅出版」様、および「上藤政樹」様にご迷惑をおかけしてしまったことを、訂正記述にてお詫びいたします。
2位以下はもう、エロマンガ界の大御所ばかりで、さすがと言わざるを得ません。
長い間、このエロ業界に腰をおいて未だに多くの作品を残されている姿勢には頭が下がります。
ただ、長いが故に再編集、総集編、という本もあるので、全てが新作でもないのは確かですが、それでもやはり敬服します。
あと、最近の流れでは、初版限定本、中身は同じだけど装丁が違う本などは1冊にカウントしていないので、そう言う意味での冊数の増加もあることは確かです。
このようにデータ化することで、わかることや考察できることも多くなるとは思うので、今後いろいろなデータを集め、エロマンガに関する、こういうデータ的なアプローチも行っていきたいとは思っています。
というか、もともと理系なので、こういう数字から検証するのが好きと言うのもありますが(^_^;
次回は、エロマンガにのタイトル使われている「
言葉」についてデータをとったものを紹介したいと思います。例えば、エロマンガのタイトルには「妹」「姉」のどちらが多いの? とか…(笑)
期待して待て!!(笑)