ども、
稀見理都です。
久しぶりの更新ですが、すでにネタが切れかかっています(^_^;
というのは半分嘘で、仕事や私用に追われていました。
一般記事以外にも別の企画も準備中なので、まったりとお待ちいただければ幸いです<(_ _)>
今日はエロはエロでも、ティーンズラブ(以下TLと略)について書きたいともいます。
TLは名前からだけの推測では、10代のための「愛」をテーマにしたマンガ、となりますが、基本的には明確な定義付けは未だにはっきりとしたものはありません。
現在発売されているTLレーベルを読んだだけでは、各社TLとは言っていますが、内容はまちまちで、
基準もあまり明確ではありません。性描写だけを見るならば、ソフトなものもあれば、ハードなものもあります。
何を持って「TL」なのか?と言う問題は非常に難しいですが、個人的には広義な意味で「
性的な描写を含む少女マンガ」と考えてはいます。ようするに、恋愛がテーマのマンガであれば、一般の少女マンガではキスまでの過程を描くものだとすると、TLはSEXを含めた部分まで取り入れたマンガ、みたいな感じです。
また、TLのTEENは10代(といってもハイティーン)を指しますが、マンガに出てくる人物が10代というわけではなく、やはり「
10代の女の子のためのマンガ」と考えるのが自然と言えるでしょう。
すなわち、性描写というものがマンガの中に取り入れられているマンガにはなります。事実、性描写がないTLはほとんど存在しません。では、TLにおけるエロの表現は、男性向けの成年コミックとはどう違うのでしょう?と言う部分は気になりますが、それを書こうと思ったら、やはりもの凄く多くのTLを読まなくてはいけないので、今回は主にTLの黎明期(過激編)のお話をその中核的な存在であった雑誌「
少女革命」を例に振り返ってみたいと思います。
■TLレーベルの誕生と進行する過激路線
そもそも、TLと言う言葉自体は2002年頃に出てきた言葉ですが、基本的な出来事は1998年頃、主に当時「少女コミック」などの少女マンガの
一部の性表現(SEX、レイプなどの)が過激になり
社会的に問題になっている時に、
そう言う需要を見こうして分かれた1つのレーベル的ジャンルでした。
その1998年に「
光彩書房」から最初はアンソロジーとして発売された雑誌が「少女革命」でした。最初はアンソロとして発売されましたが、徐々に人気が出て隔月刊誌、2002年には月刊誌とて発売されました。
ただ、発売当時はTLという名前や定義がなく、雑誌の方向性も定まっていなく、とりあえずエロをと言うことで、BLに強い出版社故に、
エロと言えばBLと言うのもがあったか、初期作家陣はほぼBL作家のみで構成されています。
それでは、まだ方向性が定まっていない「少女革命 Vol.1」の中身を少し覗いてみましょう。
日本海荒波氏の「昨日の友は今日の敵。」と言う作品では、主人公の女の子が、人気者の男子を無理矢理、拉致監禁(しかも睡眠薬で眠らせて、犯罪です…(^_^;)して、好き勝手しようとする友人を止めようとする話。
LOVEは一応入ってはいますが、どちらかというと「やおいオチ」のギャグマンガっぽいかんじです。
篁よしやす氏の「リョウコのはぢめてものがたり」では、バイト先の気になる男性が実は「ホモ」だと知って落胆する。しかし、そんな彼に誘われてSEXをする事になるが、まだ処女なのに、いきなり
おしりに入れられキレる彼女。しかも、そのまま終わり(^_^;
と言う風に、まだどことなくBL色が抜けきれていない感じの船出ではあったが、やはり女の子にとっての、
エロをどう取り込んでいくか?というのが、課題ではなかったかとは思わせる内容でになっています。
しかし「少女革命」が本気を出し始めるのは2001年ごろからです。より過激路線を目指した結果、本全体の内容も性描写もどんどん過激になっていきます。
残念ながら、手元に
雑誌の資料が少ないので、細かい内容は紹介できないが、一番過激だった頃の雑誌の表紙を見てみましょう。
本のキャッチフレーズもいつの間にか「
女の子のための恋とHの過激レッスンCOMIC」になっています。
何より過激だったのが、マンガの内容もそうだが、読者の体験記(もちろん10代)や過激コラム。そして驚いたのが、プレゼントとして
バイブレーター、アダルトビデオなどがあり、とても10代に向けたプレゼントではなかったような気がします(^_^;
そんな当時の「少女革命」の人気作家と言えば「水城かなる」氏ではないでしょうか?
2001年に発行されたPinkyTeens(ピンキーティーンズ)というレーベルにはすでに表紙を見ていただければわかるがTeens Loveのロゴが入っています(ただ、&Hと入っているので、この定義だとTLにはHは入らないのか?)
この本は男性向けエロマンガばかり読んでいた私であっても
衝撃的でした(^_^;
まず、断っておきますがこの画像は私がモザイクをかけたのであって、実際に
単行本には一切ぼかしはありません!
性器もばっりち描かれています。修正は一切無し!
(男性器もぼかしは無し。ただ、成年コミックよりはグロくはない(^_^;)
この単行本が、堂々と誰でも買えるマンガの棚にあったのだから、ちょっとした驚きでした。
しかも、内容も結構アブノーマルで、携帯をバイブレーターにして手足を縛ったままのSMプレイや、なんとアナルセックスまであり、性描写の部分だけを見れば男性向けエロマンガとなんら変わりがないくらいエロかったです。
■ストーリーとエロ描写の比較
ただエロい所だけ
誇張して抜き出すと「男性向けエロはちゃんとゾーニングして、しっかり分けているのに、TLはずるいぞ!!」とお怒りになる男性諸君もいるだろう。しかし、エロはエロでも、やはり女の子向けのマンガにははやり確実に男性向けのエロとは違う部分があります。
そこには、女の子向けの「エロ」というものを理解するヒントが隠されています。
まず大事なのが、あたりまえだが主人公は女の子であって、
例え過激なSEXであろうと、基本女の子は大事に扱われると言う事。
先ほど紹介した「水城かなる」氏のマンガでもいきなりアナルセックスをするわけではなく、しっかり安全に安心して行為ができるよう、事前のレクチャー、知識などの紹介があり、される方の不安などを取り去る工夫がなされている。
あと、もの凄く特徴的なのが、SEXをする前に
「コンドーム」を付けるシーンが結構あると言う事でしょうか?
ただ、最近のTLでは逆にこのシーンは少ない。あまりにも過激路線に走りすぎたTLマンガではあったが、
こういう部分でバランスをとっていたのかもしれない。(編集の指示かもしれないけど)
表現における差はSEXシーンにおいて、もちろん女の子を大事にすると言うことであったが、ストーリーではどうでしょう?
いわゆる男性向けエロマンガでは、SEXシーンは主に後半で、最後に男性側がフィニッシュ(射精)して、後はオチの1Pを使って終わるというのがスタンダードでですが、TLは違います。
SEXシーンも基本は
そこまでに至る「過程」を大事にし「イク」という男性エロでは必ずと言っていいほど存在するシーンがTLにはない事が多いです。
その代わりに、SEXシーンは挿入部分以降は精神的なシーンが多くなり、最後はお互いの愛を確認しあって終わるというのが多く見られる。(あとモノローグ多し)
どちらも、最後のコマである。
やはりそこには「愛」があり、TLと言うものはエロこそ基本ではあるが、それは
「愛」故の必然であると言うことをかなりアピールしているように見えます。
しかし、といっても内容が過激すぎたのは確か。「少女革命」はその過激さがやはり仇となり、各地方自治体の「有害指定図書」などに選ばれたり、かつ過激路線に飽きた読者離れのせいか、2004年にひっそりと休刊する事となります(しかし、正確には休刊の発表はない)。
■しかしTLは生き残る
たまにネットなどで、少女マンガの過激化を問題視するニュースや投稿を見ることがあるりますが、やや皆さんが誤解しているのは、よりエロを過激にする事が雑誌の販売部数に直結したわけではなかったと言う事です。
男性向けエロが過激になると部数が伸びる事は確かにあるとは思いますが、女子にとってはそれはあくまで、マンネリ解消の1つの手段であって、
一種の流行だったと言えます。もちろん、平均的なエロ度は増しているとは思いますが、過激指向はインフレーションするのではなく、シフトするのです。
そう言う意味で、過激なエロもあれば、純愛ブームも来る、とメジャーなジャンルはそう言うシフトを繰り返すものですが、もちろん細分化も起きて、そう言う意味ではTLというジャンルもしっかり今に生きてはいるのです。
比較的新しいTLを見てみよう。
といっても、3年前ぐらい前のものですが…(^_^;
基本的には、大きな意味でSEXも恋愛の1つというスタンスで、性描写を含む以外は非常に少女マンガっぽいストーリーが多い感じがします。
ただ、さすがに性器などの表現については、ぼかし、描かない、と言う感じのものが多いが、今は逆にハードなTLも多いので、一概には言えない部分ではありますが。
なので、基本的に男性向けエロと比較するよりは、BLと比較する方が正しいのかもしれなません。BLが好きな人はTLの対局にいる感じはしますが、共に「愛」がテーマの女の子向けマンガであることは確かであり、細分化の仕方もBLに近い気はします。
この辺はBLファンの方にいろいろ聞いてみたいところでですね。
■まとめ
今回はTLにおけるエロ描写を、最も過激と言われた「少女革命」のマンガをサンプルにとって、ちょっとした比較をしてみましたが、あくまで一部の比較なので、もちろん
全てのTLが当てはまるわけではないでしょう。
ただし、同じ性的な表現を用いるマンガという部分での、こういう表現、ストーリーの比較は面白いものかもとは思いました。
すべからく、もう少しTLについての知識を上げなければ行けませんね…(^_^;