■世界最大級の「エロマンガライブラリー」ここに完成!
2009年10月31日に開館した、日本のサブカルチャー研究の1つの礎(いしずえ)となる図書館「明治大学 米沢嘉博記念図書館」に、先日再度取材にために訪れました。
再度というのは、この図書館には国会図書館に匹敵するぐらいの「エロマンガ雑誌」の蔵書が収納されるとの噂を開館前に聞き、取材のために1度訪れていたので、取材としてお邪魔するのは2度目。(個人的には何度も訪れます)
その時(最初に訪れたとき)の記事は以下になります。
(※参考記事)
「米沢嘉博記念図書館」でエロマンガを研究しよう!
以前訪れたときには、まだ開館前という事もあり、データベースの構築や収納整理などがまだ全然行われていない段階での取材だったので、その雑誌のボリュームの凄さだけは伝えることができたのですが、詳細までは記事にできませんでした。
しかし、今回足かけ2年半にして、ようやく「成年コミック雑誌」の整理が終わり、約5500冊もの「成年マンガ雑誌」(今回は劇画系と美少女系マンガ雑誌の両方を示す
。また成人向け単行本は未配架)が
新規に公開されたという情報を頂き、これは是非とも詳細を知りたい、そして伝えたい考え、さっそく御茶ノ水の「米沢嘉博記念図書館」を訪れました。ちょうど桜が満開の頃でした(*´∇`*)
■膨大な量の「エロマンガ雑誌」「エロマンガ雑誌」「エロマンガ雑誌」
「成年マンガ雑誌」が収納されているのは主に図書館の3階と5階。といっても、もちろん開架式(自由に見に行ける)というわけではないので、一般利用者が入れない場所。弥が上にも緊張は高まります。
ま〜前置きはこれぐらいにして、さっそく蔵書の一部をご紹介しましょう!
雑誌は基本このように「出版社別」に収納されています。ただ、そうなると途中で出版社などが変わっている雑誌は、別々のところに置かれてしまうので、ちょっと紛らわしいですが、ま〜データベースで検索すればすぐに出ると言う意味では、あまり問題はないでしょう。
桜桃、桃園はにてますが違う出版社ですね(笑) 奥は、日本出版社の「キャンディクラブ」
「ライズ」に「ジャンケンPON」「花いちもんめ」メディアックス系
「ホリディCOMIC」はミリオン出版だっけ?
この辺は、辰巳、富士美ですね、キャンディクラブ、ペンクラ、山賊版と結構な量がそろっています。三峯御大のデビュー号もあるかな?
意外ですが、茜新社があまりないようです。「LO」などは全巻ないといけませんよね!(笑) というかLOファンは雑誌を手放さないから?
この辺はワニマガジンですか? 快楽天撮り忘れたかも…(^_^;
いや、快楽天も適当にあったはず!!
この辺はちょっと貴重ですよ!アミカルの「コッペパン」、宙出版の「舞夢」とか…
劇画系とエンジェル出版の「エンジェルコミック」ですね。
これは、美少女マンガ雑誌黎明期の代表3雑誌の1つ「ハーフリータ」です!
今は亡き、ビブロスの「Bee」ですね。中綴じバージョンと、平綴じバージョンがありますね!
わかりにくいですが、これは雄出版の「オレンジクラブ」?
ヒット出版も意外に少なかったりします。阿吽の創刊号はありますね〜
さりげなく「メロンコミック」もありますが…
A5サイズ雑誌は別の棚にあって、これは光彩書房の「アットーテキ」ですね。平綴じだと、こういう写真写りがいいです(笑)
フラミンゴ(A5版)ですね。三和出版は結構網羅されている感じです。
こちらはB5版中綴じフラミンゴ
ついに来ました「ブリッコ」(セルフ出版・白夜書房)です!
サブカル研究、オタク論を語る上での、基礎中の基礎の本ですね。多くの研究を始める方が最初に参考にする雑誌でもあります。
もちろん、全巻制覇でしょう!!
ティーアイネットも少ない? 基本2000年代になってからメジャーになってきた出版社は弱い感じですね。
東京三世社!!!
「ホットパンツ」はフロム出版〜
そして、こちらも重要な雑誌の1つ「旧ホットミルク」 ほぼ全巻そろっていますね!
「マンモスクラブ」という雑誌を知ってる方は「通!」セブン新社さんです!
司書房といえば「ドルフィン」ですね! 写真のは創刊号。でも、創刊2号までは、親会社の桃園書房から出てます!
同じく司の「ラッツ」周辺!
そして、桃園といえば「ジャンボ」!!
最後に、フランス書院といえば「パピポ」そして「外伝」ですね。
ざっとあくまでも1部だけ写真でご紹介しました。もちろん、他にもたくさんの雑誌があります。基本的な雑誌でもある「レモンピープル」などから、微エロの竹書房、双葉出版系の雑誌ももちろんあります。
この雑誌はあるの?? と、興奮なされた方は是非「
米沢嘉博記念図書館 HP」の蔵書検索ページを!
■サブカル研究、エロマンガ研究を始める方へ
さて、今回写真で紹介した部分(成年コミック雑誌等)は、あくまで「米沢嘉博記念図書館」蔵書の一部であり、もちろん少年誌、少女誌、青年誌、BL雑誌をはじめ、他にも本当に多くの雑誌、単行本が収蔵されています。
ただ、これだけ多く、約5500冊の「成年コミック雑誌」でも、もちろん全ての成年コミック雑誌(どこまでを全体というかでも変わりますが)カバーできたとも言えません。まだ全くない雑誌もあれば、あったとしても全ての号がそろっている訳でもありません。
しかし、これだけの量の「成年コミック雑誌」を所蔵する図書館はほとんどなく、あくまで
個人的な実感ですが、量だけなら国会図書館に匹敵し、種類で言えば越えている感さえあります。今回の取材でその事を実感しました。
ゆえに、今日本で一番サブカル研究、エロマンガ研究としてのアーカイブであると言ってもいいと思います。
サブカルチャー研究において大事なことは、サブカルチャーといえども、現在ここまで大きく膨れあがったジャンルを、いかに俯瞰的に、そして他のジャンルとの関係性、親和性を比較しつつ研究していけるかだと思います。
研究を始めようとする人が間違い易いのは、どうしても自分の周りに見えているだけの資料やアーカイブ、そして
自身の経験だけで、仮説や結論を出してしまうことです。興味がある故に、どうしても自分が経験した部分をベースに理論を構築してしまい、逆にそこを通ってきていない人から見れば、やや違和感のある論理に見えてしまいます。(この辺は、実は私もよくやってしまう事であり、反省の意も込めて(^_^;)
もちろん、自分の周りの事象や資料も大切ですが、もう少し他にどのようなジャンルと関わりがあり、相互作用、発展をしていったかなどを全体を俯瞰的に眺めることが大事ではないかと…。
ただ、今まではそういう資料集めが個人ベースではかなり無理があり、ある特定のコアなコレクターでなければ始めることすらできない、敷居の高い分野であったことも確かです。なので、米沢嘉博記念図書館のような、まとまったアーカイブがある事は、研究の入り口としての敷居をだいぶ下げてくれることになったのではと個人的には非常に期待しています。
なので、特に卒論などで、オタクカルチャー(オタク論、BL論、そしてエロマンガ論)を考えている方、興味のある方は是非「明治大学 米沢嘉博記念図書館」を利用しましょう(この辺は宣伝を頼まれた??)
ただ、大学図書館という事もあり、明治大学生及び関係者以外の一般の方の利用は有料になります。その辺の詳しい料金体系は、米沢嘉博記念図書館の
ホームページまで!
コアにこの図書館を利用したいあなた! もう明治大学生になりましょう(笑)
そうすれば、学生証があるだけで無料で利用したい放題ですヽ(*°ω°)ノ(といっても閉架部分には入れませんが)。高校時代から、エロマンガ論が書きたい方は是非明治大学へ(ある意味不健全な目標だ)
■エロマンガ研究の未来
といいつつも、「えろまんがけんきゅう(仮)」というHPを運営している割りに、何も研究を発表していない私が言ってもあまり説得力がないかもしれません(^_^;
わたしも、今は研究よりは「エロマンガ」全体像をまずはつかもうと、アーカイブの整理をしている段階ではあります。自分がよく読んだエロマンガ雑誌や、単行本以外に、実にいろんな種類の膨大な雑誌や資料をまとめることによって、「あ、実はこういう繋がりがあったんだ!」「なるほど、これはこういう意味だったんだ!」と気づかされたことが本当にたくさんありました。
そして、最近ようやくぼんやりと全体像が見えてきて、その俯瞰的な視点からいろいろと研究対象などが見えてきたりすることも増えてきました。
エロマンガの研究も、ようやくアーカイブの整理から、実研究へシフトしていけるかもと、自分でも少し期待感が増しているところです。
ただ、こういう研究はやっぱり多くの人で、多角的に行う方が有効なので、できればいろんな人に始めていただければとても嬉しいですね。そういう気持ちも込めて、今回の紹介をさせていただきました。
どうです、自分もやってみようと思ってきませんか??