ども、
稀見理都です。
いよいよオタク達の夏のオリンピック、種目で言えばトライアスロンとでも言うべき、コミケが近づいてきました。私も準備を終え、後は当日倒れないように規則正しい生活と、体力維持に努めております。
オリンピック選手が、オリンピックに体のピークを持っていくのと同様、オタク達もこの3日間に体調の(良い)ピークを持ってこないととても乗り切れません。(年をとればとるほど)
さて、今日はそのコミケ前にふさわしい、と言うか
「エロとマンガ(同人)と女の子」についてのマンガが最近2冊ほどありましたので、その簡単なレビューをさせていただきます。
■(嫌いだけど)売れるためにエロ同人始めました!
最初にご紹介するまんがは、現在ホビージャパン制作のWEBコミック「
コミックダンガン」で連載中の「
Aをねらえ!」(原作:石崎芋蔵 画:岩戸あきら)です。
| 「Aをねらえ!」(原作:石崎芋蔵 画:岩戸あきら) | |
タイトルの「A」とは「エース」ではなく、「Aブロック」のことを指し、コミケのサークル配置で言う、最も売れ線で大手サークルがよく配置される壁側席、言わばコミケVIP席。(”シブロック”もあるという指摘もありますが)
企業で言えば一部上場、出版社で言えば少年3大誌出版社とでも言える、このA列は、売上の面でも超一流でもあるが、コミケに参加するサークルが一度はあこがれる最高のステータスでもある。
このマンガは、(男性向け)エロ同人で壁を目指すある弱小サークルの女性同人作家のサクセスストーリー…ではない。
エロ同人が大嫌いな同人作家が主人公なのだ!
| いつまでも弱小BLサークルなんか続けられないと、友人が去って行く… | |
主人公、万世橋小絵(まんせいばし さえ)は売れなくてマイナーだけど、同人活動を楽しんでいたBL同人作家。しかし、同じサークルの友人は、こんな売れなくてマイナーな活動に何の意味があるの? 私はもっと売れる作家になりたいと、男性向けエロ同人大手壁サークルに引き抜かれていく。
友人に縁を切られ、途方に暮れる主人公だが、同人誌が売れないというのは現実で、在庫だけが山となり、新刊の印刷費も滞納する日々。
仕方なく、彼女は”金”の為に、
ストーリーなんてなく、ただヤリまくるだけ(と主人公が考えている)の大嫌いだった男性向けエロ同人を始めることを決意する。
しかし、即売会で偶然隣になり知り合った男性、外神田(そとかんだ)に、エロ同人に”魂”が込められていないと指摘されてしまう。
図星を突かれ現在の自分の状況にやり場のない憤りを感じる主人公。そんな彼女に、謎の事情通な男、外神田が「一緒に”魂”のこもった男性向けエロ同人誌を作って見ませんか?」と誘い、彼女は”魂”の込められたエロ同人を作り、縁を切られた友人(すでに大手)を見返す事を決意する。
しかし、目指すと言っても、もともと嫌いだった男性向けエロジャンル。いきなり
「エロの壁」にぶち当たってしまう。エロシーンさえあれば男性は喜ぶというという誤解が理解できない主人公。
『ながれてない…』と外神田は言う。その心意は?
そして、始まるエロマンガ修行。どうやったらエロくて流れる男性が喜ぶエロマンガが描けるのか? さまざまな人に出会い、その人の行動、考えから彼女なりの「エロ表現」の答えを探していく…。
修行の甲斐あって、テクニック的にはどんどんとレベルを上げる主人公。
しかし、ある程度の所まで来て、根本的な疑問
「第2のエロの壁」にぶつかってしまう。
女性が考える「エロ」と男性が考える「エロ」の根本的な差、そして男性がなんでそんなにエロばかりを求めるのか? という、女性作家なら、もしかしたらかなり共感できるかもしれない重要な疑問が露呈する。
はたして、主人公はこの難問を自分なりのどう理解していくのだろうか? そして、壁サークルになれるのであろうか?
同人界を舞台にしたマンガは今までもたくさんあったが、女性が”男性向けエロを描く”という部分に
精神面からアプローチした作品は初めてだと思う。
同人やエロマンガが大好きな人にとっては、凄く共感できたり、また痛くなったり(笑)するマンガで楽しめるまんが。結構お勧めです!!
■女の子だってHなマンガが描きたい!
今度は先ほどの「Aをねらえ!」とは真逆で、
エロマンガが大好きな女の子が主人公のお話。
| 「女のコがHなマンガ描いちゃダメですか? 1」(著:ジェームスほたて) | |
紹介するのは、男性成人向けエロマンガでもバリバリ活躍中の
ジェームスほたて先生(別ペンネーム: 小暮マリコ)の、ちょっと変わったラブストーリー?微エロマンガ「
女のコがHなマンガ描いちゃダメですか?」
主人公の城井雪乃(しろいゆきの)はHな事に興味津々で、且つ自分でHなマンガを描いている女子高生。ただ、あくまで趣味で描いている段階で、同人も投稿もまだしていない(でも、ネットのSNSとかには上げている)。
そんな彼女とひょんな事から付き合うことになった同級生の甲斐恭介(かいきょうすけ)だが、偶然彼女がエロマンガを描いていることを知る。
Hな事(特に創作に必要な)には興味の尽きない雪乃は恭介の家に行っても、彼の”オカズ”で大興奮!
そして、ついに彼女に家に行き、彼女のエロマンガを見せてもらい事に…。
しかし、雪乃も決して自分の趣味、女の子がエロマンガを描くという事に対して、何の後ろめたさ、違和感なく描いているわけではなく、自分の性癖倒錯に悩むフツーの女の子。
ただ、自分なりのもっとエロいマンガを追求してしまう創作欲の強い主人公は、そういう疑問や彼との恋愛よりも、探究心のほうをどうしても優先させてしまう。
人の意見を聞いた方がいいという恭介のアドバイスから、学校にあるアニメ同好会を訪れるが、そこで部長の香子と出会う。
生粋のオタク(腐女子?)香子は、雪乃とはまた全然違う、マンガ描き。
売れるために流行ジャンルを描いている香子に対し、疑問を感じる雪乃。しかし、多くの人に見てもらいたいという欲求と売れたいはと思う事は矛盾しない、それもまた
マンガを描く大義だと主張する香子!
最初は意見の対立する2人ではあったが、何度もぶつかることで両者の隔たりを狭めていく。(この時点で、彼氏の存在はどんどんと薄くなっていくがw)
「恥ずかしい事をしているマンガでも、恥ずかしくない作品として自信を持て!」と引っ込みがちだった彼女を即売会場で諭す香子。
ただ、マンガを描いていて小さいところでこぢんまりと楽しんでいた主人公だったが、自分のまんがをより多くの人に楽しんでもらう事(方法や理解)を、いろんな人と出会うことで学んでいく。
このマンガをHなマンガが好きな主人公が、彼とエロ展開で、あんなことやこんなことをしちゃう、微エロ作品だと思ったら大間違い(いや、エロターンはあるが!)で、この作品は主人公がエロマンガというものにしっかりと対峙して、そのコンプレックス、悩み、と共に成長していく成長物語なのだ。
上記の2作品は、主人公の立ち位置は真逆ではあるが、作品を作る事とは、売れたいと思う事は間違いなのか? 何のために創作を行うのか? という、
同人活動の根本的な命題をテーマにした作品だ。
もちろん、答えは1つだけではなく意見はさまざまであろうが、こういうマンガを読んで、エロとは何か? 同人活動とは何か? という事をもう一度自分なりに考え直してみてはいかがだろうか?
そうすれば、今週末から始まるお祭りも、さらに楽しめるかも知れませんよ〜w
それでは、コミケ3日目お待ちしています〜( ^_^)/