女の子が描くエロマンガ(同人)は好きです...
TOP
夏コミ「エロマンガノゲンバ」以外

2012
DISTANCE先生 インタビュー
Check


都会の喧噪から離れ、360°森林に囲まれた山の中腹の自宅で、1人エロマンガを描く男がいる。

それがDISTANCE先生だ。

もうすぐ作家生活20年を迎える、大ベテランの先生のお仕事場にお邪魔したのは、ようやく深い雪がほとんど解けた、大型連休明けの5月上旬の事であった。

「エロマンガノゲンバ」で関東を離れるのは、Cuvie先生の時に京都に訪れて以来2度目だが、それ以上にこんな大自然のすがすがしい場所でのインタビューという事の方が初体験である。

はたして、こんな森と動物に囲まれた心が洗われる環境で生み出されるエロマンガとはどんなものであろうか?

360°大自然に囲まれた環境でエロマンガを描く!


ゲストプロフィール
DISTANCE(でぃすたんす)

1993年8月、「コミックパピポ 外伝 夏号」(フランス書院)でデビュー。巨乳系エロマンガ家として、初期からパワフルで魅力のある女性上位キャラには定評があり、今なお進化し続ける! 本人はその肉食系マンガとは対照的な草食系にて、現在は滋賀の奥地、大自然と動物たちに囲まれつつ精力的な活動を続けている。最近最寄りの駅にようやくコンビニが出来た、とか?


■ネクタイして会社に行くということにマイナスイメージがあった

稀見 :今日は、はるばる滋賀県の湖西線でかなり奥地に行った駅から、さらに車で10分の所にあるお仕事場、兼ご自宅にお邪魔してのDISTANCE先生へのインタビューとなります(^_^;

何というか、文字では全然伝わらないとは思うのですが、山の中腹、空気も澄んで、動物もたくさんいるという大自然の中でのエロマンガトーク、よろしくお願いいたします<(_ _)>
DIS:よろしくお願いいたします<(_ _)>
稀見 :DISTANCE先生は1993年デビューなので、来年(2013年)でマンガ家生活20周年になりますね…。

「エロマンガノゲンバ」でインタビューさせて頂いた作家さんの中では、RaTe先生に次ぐ2番目に長い現役作家さん、という位置づけになります。
RaTe先生は1993年1月号デビューになります。
DIS:そんなに近かったんですか?
稀見 :先生のデビューは1993年の8月(コミックパピポ外伝 夏号:フランス書院)なので、ほぼ同期という感じですかね?

デビュー雑誌「コミックパピポ外伝 夏号」(フランス書院)


DIS:なんか先輩というイメージがあるんですけどね(^_^;
稀見 :まずは定番のペンネームの由来なんですが、作家歴の長い方の場合、だいたい資料から由来はわかるものなんですが、すいません、今回は私もわかりませんでした(^_^;
DIS:最初、ハガキ投稿をやっていたんです。
「キャンディータイム」(辰巳出版)とかに…。
その時、アルフィーが好きだったので、アルフィーの曲「星空のディスタンス」からとったんです。

「星空のディスタンス」(ジ・アルフィー)


稀見 :えっ!!(;゚∀゚)=3 そんな直球だったんですか!?
DIS:直球ですよ(笑)
で、投稿していたときはそのまま「星空のディスタンス」というペンネームで送っていたんですが、「長いから削ってヾ(・・ )」、って言われて、「じゃ、星空をとって英語の『DISTANCE』にして下さい」って、こうなったんです(^_^;
稀見 :なんと…。世代なのか、先生のペンネームを聞くたびに「星空のディスタンス」が頭に流れるんですが、何の意味もなく「DISTANCE」なんですね(^_^;

当時の先生の投稿ハガキ。ちゃんと「星空のディスタンス」になっている


DIS:ないです(`・ω・´)  
曲名からとっただけです! 投稿は主に「キャンディータイム 海賊版」「花いちもんめ」でしたね。92年頃からですかね~?
稀見 :では、ペンネームはもうこれ以上掘り下げようが無いというか、知ってしまえばそれまでという感じなので(^_^;
デビューの経緯の方に話を進めますか?(笑)
DIS:ちなみに、デビュー作の「恋人になりたい」というタイトルも、アルフィーの曲名なんです。
だから、結構ペンネームの由来わかっているんじゃないかな? とは思っていたんですか(^_^;
というか、僕タイトル考えるの苦手なんですよ~。なので、ヒット出版で描き始めてからは僕は考えてないんです(笑)
全部編集に任せていたんです。

デビュー作「恋人になりたい」(単行本未収録)


稀見 :まずは、デビューの経緯ですね。どういうきっかけで投稿を始めたんですか?
DIS:ふっと買ってみたキャンディータイムを見て、何でなんでしょうね? これなら僕が描いたハガキイラストでも載るかも知れない!という甘い考えがあったんです。で、描いてみて送ったら、載ったんです。それでハガキ投稿にハマったのが第一歩です。
稀見 :まずはハガキ投稿が目的で、その先にもしかしたらデビューできるぞ!?みたいな…。
DIS:いや、そこまで考えていません。載ったことが嬉しかったんです、もう単純な動機ですね。
稀見 :マンガ自体を最初にちゃんと描いて投稿したのはいつ頃だったんですか?
DIS:最初は「花いちもんめ」に投稿したやつですね。
稀見 :えっ!(;゚∀゚)=3 もう、デビュー前すぐじゃないですか? 一体どうやってマンガを描くノウハウを覚えたんですか?
DIS:買っていた雑誌を見ながら見よう見まねで…(^_^; 一応Gペンとかの知識はあったので、あとは本当に見よう見まねで…。教えてくれる人がいたら、遠回りしなくて済んだんじゃ無いかな~って(^_^; 
本当に我流です。
稀見 :それで数作目ぐらいでいきなりデビューですか…
(;゚∀゚)=3 ちなみに、その投稿時は何歳頃?
DIS:大学の4年の時ですね。4月か5月頃に投稿を始めて、1年してちょっとでデビュー。
稀見 :特に就職活動などはせずに?
DIS:してないです。いや~なんか、ネクタイして会社に行くということにマイナスイメージがあったので(^_^; 何というか「モラトリアム」だったんですよね~。
稀見 :でも、たぶんその頃はぎりぎりバブルでしたよね? 
だから、就職しようと思えばできたんじゃないですか?
DIS:まだ恩恵を受けられる時期ではありましたね。もしかしたらもっと厳しい時代に卒業してたら考えも変わっていたかも知れません。あの頃は、東京に1次試験を受けに行くだけでも、足代食事代が出ましたからね~(^_^;(※自宅は京都でした)

ですが、そんな時代であっても自分は失敗しそう、という不安がありましたけどね(^_^;
それに、なにより働きたいという仕事がなかったんです。
大学4年間のうちに何かやりたいことが見つかればな~と思っていたんですけど、絵は趣味と考えていたので、投稿した作品がお金に直結していくなんて全然思っていなかったですね(^_^;

あと、マンガを描くという仕事は、子供の頃からマンガが好きで描いているような人がなるような職業だと思っていたので…。
稀見 :でも、その感覚はわかります。先生の世代にデビューされた作家さんって、比較的遅くマンガを描き始めた方も多いんです。逆に小さい頃からマンガ家を目指していた人には、見えにくいジャンル(美少女コミック)というか、そういう層の違いはあったような気はしますね。

(ピンポーン♪ 佐川急便です~ と、ここでインタビュー中に宅配の人が訪れる)
DIS:宅配の人に「何のマンガ描いてるんですか~?(*´∇`*)」って聞かれるんですよ(^_^; 
「いや、ちょっとそれは…」って感じではぐらかしているんですけど(笑)
稀見 :マンガ自体を描いているのはバレているんですね? でも、なんでバレたんでしょう?
DIS:献本がどんどん届きますからね~。それでバレるんですよ(^_^;
稀見 :ああ~封筒に、でっかく会社名、雑誌名書いてますもんね~(^_^;
DIS:もう、「マンガ家」って言った時点で突っ込まれますよね~(^_^; 
プログラマーとか言ったら、それ以上は絶対聞いてこないのに、マンガ家と言ったとたん絶対次の質問に入ってくるじゃないですか、「何描いているんですか?」って(笑)
稀見 :確かに、プログラマーって言って「どんな言語使っているんですか?」と言われたことはないです(笑)
DIS:あ、それで思い出しましたが、以前千葉に住んでいた頃、そこを出ていくときに不動産屋の人に「これからもいいおっぱい描いてください!!」って言われました(^_^;
稀見 :何!(;゚∀゚)=3 な、なんでバレたんですかね?
DIS:たぶん、入居するときにペンネームを書かされたんですよ。それでじゃないですかね?
稀見 :え、マンガ家って不動産契約するときにペンネーム書かされるんですか?? 何にために? 
一応、どういう作品を描いているか調べるためですかね…、ちょっと謎です。

えっと、脱線しましたが、どこまで話しましたっけ? あ、卒業ですね。卒業後は何かアルバイトみたいな事をされていたんですか?
DIS:いや、半年間投稿だけでしたね。実家でずっとマンガを描いていました。
稀見 :先生の実家は京都ですよね? あの~その時、親御さんとかに何か言われませんでしたか?(^_^;
DIS:微妙でしたね~(^_^; デビューするまでは。
でも、卒業は3月で、デビューが6月なので期間としては3ヶ月間なんですよね。
稀見 :でも、大学4年になってから、すでに何もしていなかった訳なので…。
DIS:確かに、親からしてみればその時点で、かなり怪しいですよね(^_^; 
今だったら、就職しないでマンガ家を目指すと言って籠もっている人も多そうですが、バブルの時にそういう事しているって、かなり怪しいですよ(笑)
なので、親の怒りの頂点に達する前にデビューする事ができて、何とかなりましたね。
稀見 :で、正式にエロマンガ家として、1993年にフランス書院からデビューするわけですね。
「パピポ第4回CY大賞佳作作品」という賞をもらってデビューされたわけですね。
DIS:こういうのって発表前に電話が来るんですね。「とりあえず佳作に入りましたから、これからはネーム送ってください~」って電話が来ました。
稀見 :このデビュー雑誌なんですが、見つけるのに凄く苦労したんです。だいたい表紙を見て、名前があるものからチェック入れるんですが、この号には先生の名前が何も入ってないんですよ(^_^; なので、最終的にローラー作戦で当たりを付けて探しました。
DIS:お疲れ様です(^_^; すいません、記憶がいい加減で…。
稀見 :でも、マンガ3作目でデビューとは凄いです。マンガ歴は少ないですが、絵を描くことが好きだったり、小さい頃からよく描いていた、なんてことはないんですか?
DIS:いや、ないんですよ~~(^_^;
稀見 :本当ですか??(;゚∀゚)=3 
普通手をドラえもん型から、指までちゃんとかけるようになるまでは3年はかかりますよ(笑)
DIS:いや~結構、ごまかしごまかししながら描いてましたよ(^_^; 
稀見 :じゃ、自分の絵柄を意識したというか、最初に影響を受けた作家さんなどは?
DIS:最初は、うるし原智志先生に影響を受けましたね。結構そのときどきによって、この作家さんの絵がいいな~っていうのがあるんですよ。

だから、その時期時期で結構絵柄は引っ張られていると思います。
稀見 :先生の最初の単行本は、そのフランス書院からの「ワンナイトドリーム」になるんですが、どの辺に影響が出ているか今見るとわかりますか?

初単行本「ワンナイトドリーム」(フランス書院)


DIS:(単行本を見ながら)
うわ~~~~なんか凄いですね(^_^; 
鼻とか目とかですかね~? 
というか、凄いプレイですよね(初単行本羞恥プレイ?)!

■この作品のレベルではまとめられないって言われたんですよ…

稀見 :DISTANCE先生といえば、出版社ジプシー(笑) 最初の単行本をフランス書院で出し、次は茜新社、双葉、ヒット、ジェーシーと単行本を出すたびに、出版社を乗り換えていくというイメージがあるんですが(^_^; 
で、ヒットで描いている頃はまだ、実家の京都で描かれていたんですよね?
打ち合わせなどで上京することは?
DIS:上京は結構ありました。ヒットだと中目黒の編集部とかに…。毎回ではないですが、年に2回ぐらいは行ってました。打ち合わせは基本電話でしたね。あとは、当時の担当さんが実家が大阪の人だったので、担当さんが帰ってくるときに打ち合わせというのもありました。
稀見 :フランス書院さんの次に出た単行本が、茜新社から発行された「元気を出して」になりますね。これ、今は知らない人がいるかとは思いますが、茜さん独自の初期のレーベルで「にんじんコミックス」というヤツなんですよ。これは主に「ホットシェイク」で描かれていたものを収録したんですか?
DIS:いや、これには訳があって、ホットシェイクではこの作品のレベルではまとめられないって言われたんですよ…。

「ホットシェイク」(富士美出版)


「元気を出して!」(茜新社)


稀見 :え!?(;゚∀゚)=3 
あ、ようするに「ホットシェイク」の発行元は富士美出版さんだったけど、富士美さんでは単行本化は無理となったということですか?
DIS:ハイ、そうです。なので、2冊目出るまでは結構かかったんですよ~(^_^; 
で、そうこうしている時にコミックハウス時代の担当さんから連絡があって「原稿浮いてるよね? じゃ、こっちで出してあげるよ~」という感じで出して頂いたんですよ。
稀見 :なるほど~そういう経緯があったんですが…(^_^;
ちょっとわかりにくいので説明すると、「ホットシェイク」の発行出版社は富士美出版社なんですが、編集は外注でコミックハウスさんに委託していたんです。でも、単行本化を決定するのは富士美さんなので、そこでNGとなり浮いたDISTANCE先生の原稿を、コミックハウスさんの出版部門、茜新社から出す事になったという経緯になります。
DIS:本当は、おっきな方(A5版)で出してほしかったんですよ~。印税的にも(^_^;
稀見 :ちなみに「ホットシェイク」で描き始めたきっかけは?
DIS:ハガキ投稿時代の友達が「ホットシェイク」にも投稿していて、その集会に連れて行ってもらったんです。
稀見 :集会!? な、何ですかそれは?
DIS:「ホットシェイク」がハガキ投稿者を集めて座談会を開くという企画があったんです。その集会に参加したときホットシェイクの編集さんに「マンガ描かれているんですか?
じゃ、うちでも描いてくれませんか?」という流れでマンガを描くようになったんです(^_^;
稀見 :でも、そうなると「パピポ」から、平行しないで「ホットシェイク」に移られた訳ですよね? それは、どうしてだったんですか?
DIS:その頃パピポの編集さんに「もうちょっとゆっくり描いてみない?」的な事を言われていたんです。毎回毎回パッパパッパとネーム送ってたんですけど、時間をかけてじっくり練った方がいいよ、と、つまりは「戦力外通知」ですよ(^_^;
稀見 :ええぇぇ~(;゚∀゚)=3
DIS:そんな時に「ホットシェイク」に誘われた感じですね。「パピポ」とはその後ネームを送らず自然消滅になりました…。
稀見 :そ、そんなにレベルが低かったとは思えませんけどね…。
DIS:いや~単行本の売り上げがよくなかったんじゃないですかね~?(^_^;
でも、そのちょうど「戦力外通知」を言われた時と、誘いを受けた時がガッチしていて、タイミングがよかったんですよ。
稀見 :でも、その「ホットシェイク」も休刊になるんですが(^_^; そして今度はヒット出版社へと…。
DIS:「ホットシェイク」とヒットは微妙に重なっていたかもしれませんが、ほとんどタイムラグはなかったですね。このきっかけも、さっきの投稿者友達がヒットさんにも投稿していて、そこからまた新しい編集さんと縁が…(^_^; 

といっても、ヒットで仕事をしていたフリーの編集さんになりますね。


■「違う雑誌になったら、心機一転やろう!!!」って、言うんですよ!

稀見 :少し、作品のことにも触れたいんですが…。
ヒットまでは、主に短編ものを描かれていたと思うんですが、ヒットさんからは部長シリーズなど、比較的長期連載ものが多くなっていきますよね。成年向けとしては連載ものは当時でも少ないパターンだと思うんですが?
DIS:「部長シリーズ」ですが、これはまず読み切りものがあったんです。で、編集がこのキャラクターいいから、これで続けてやってみよう!って事になったんです。
稀見 :受けがよかったので、連載もので行こうと! 結構続きましたもんね~。
DIS:でも、途中で終わっちゃうんですけど(^_^;
稀見 :いや、それはさすがに聞かないといけないと思っていました(笑) 現時点で3巻まで出ているんですが、3巻の終わりに「4巻に続く!」って描いてあるんですよね(^_^;
で、それっきりなんですが…、これはいったい?
DIS:雑誌が潰れたんです(^_^; 
「部長シリーズ」が載っていた雑誌「D-ANGE」が。
稀見 :でも、出版社自体が潰れたらまだわかるんですよ! でも、すぐに新しい雑誌が創刊されるじゃないですか? 昔は結構雑誌が潰れても、連載ものだったら新雑誌で描かせてもらえること多かった気がするんですけどね(^_^;
DIS:「違う雑誌になったら、心機一転やろう!!!」って、言うんですよ、編集さんが(笑)
自分でもそこまでして完結させようという気持ちがなかったので、ま~しょうがないかと…。
でも、読者さんには大変不義理ですよね…(^_^;

「D-ANGE」(ヒット出版)


「COMIC 曼天」(ジェーシー出版)


「部長より愛をこめて 1」(ヒット出版)(未完)


稀見 :なるほど、雑誌が休刊になったので、続きが出なくなったという、ま~政治的な結果だったんですね。
DIS:編集さんも、上の方(上層部)から中身もガラッと変えろ!って言われていたと思いますよ~(^_^;
「ミカエル計画」とかも最初ジェーシー出版からの発行だったんですが、増版するときはジェーシーがなくなっていたので、ヒットからの「新装版」という形になりましたね。
稀見 :雑誌で言うと「曼天」からですよね。
DIS:「曼天」(まんてん)ってネーミング、最初はどうかと!?思ってましたけどね(^_^;
えらく和風?な名前だなと、と(^_^;
稀見 :でも、どうやら最初の案は違って、変えて「曼天」になったんですよ。確か、編集後記あたりに書いてあった気が…。これは○柴さん編集ですね(^_^;

これですね(雑誌の後書きを読みながら)「『曼』は漫画の漫から、『天』は天使からとって…」と描いてありますね。
DIS:ああ~やっぱり天使なんだ~(^_^; ○柴さん「天使」が好きみたいなんですよね。
稀見 :そうなんですよね~。「セラフィン」、「ミカエル」、「D-ANGE」みたいな天使にまつわる雑誌名多かったですしね。ヒットの単行本のレーベルが「セラフィンコミック」なのも、そのせいですからね~(^_^;
DIS:でも曼天は結構長く続いて、安定してましたね。だから「ミカエル計画」が完結できたんですよ(^_^;
稀見 :この頃は、もうほとんど曼天で描かれていますね。そして、その安定してた曼天もついに終焉を迎え、次のクロスが始まるんですが、そのクロスもすぐに終焉と…(^_^;
DIS:「ミカエル」の次に連載した「墜ちる天使」も実は2巻で完結というわけではないんですが、これも、曼天が休刊したから続けられなくなった「部長シリーズ」と同じパターンです。この時次の新雑誌でも「墜ちる天使」を続けましょう、とは結構抵抗したんですけど、また仕切り直しになりました。今思うと「墜ちる天使」の売上もかんばしくなかったのかな。だから仕切り直した方が、と判断されたのかも…。
稀見 :で、ついに2007年に「メガストアH」でコアマガジンデビューになりますね!

「メガストアH 2007年8月号」


DIS:ちょうどその頃、コアの作家さんと知り合うきっかけがあって、「いや~今度雑誌が潰れちゃって、仕事がなくなるんですよ~(*´∇`*)」って言ったら、「じゃ、紹介しますよ!」って事で話を通してくれたんですが、コアの担当さんも実は以前から僕に連絡したかったらしんですよ。
でも、連絡先が全然わからなかったのでできなかったらしいんです(^_^;
稀見 :ヒットからジェーシーと結構長い期間仕事をなされていましたが、双葉以外の編集さんからオファーがあったことはなかったんですか?
DIS:まったくなかったですね!
前からメガストアは買って読んでいたんですが、「呼んでくれないかな~~(*゚▽゚)」って思ってたのは秘密です(笑)
稀見 :じゃ、ネットとかでホームページとかブログとかやってればよかったじゃないですか~(^_^;
DIS:いや~どうもめんどくさくって(笑)
で、「曼天」が潰れて「クロス」が出るまでの間に3ヶ月位間があったんですが、その時にコアさんから電話がかかってきたんですよ!
「曼天」のラストを描き終えて、1週間もしないうちに(笑)
稀見 :なんと、またフラットに繋がってますね!(;゚∀゚)=3
DIS:ええ、まるで狙い撃ちです(笑)
「クロス」が出るまでの3ヶ月は無収入になるのと、コアで描いてみたい、というのもあって二つ返事で仕事を受けました。それからしばらくは「クロス」がなくなるまでコアとジェーシーで交互に描いてましたね。

「COMIC CROSS」(ジェーシー出版)



■原稿配達が間に合わなくて、自分で新幹線に乗って届けに行った事が…

稀見 :実家から関東(千葉)に出てきたのはいつ頃だったんですか?
DIS:ヒットで部長シリーズを描いていた頃だと思います。いや~さすがに、いい年して実家にいるのもどうか!?と思い始めたんです(^_^; ま~そこそこお金も貯まってきたし、じゃ行くかと。
稀見 :で、先生が関東に出てきて、もうだいぶ経った頃、たぶん2年ぐらい前に初めてお会いしたんですよね。その時は関東にいらしたんですが、気づいたら滋賀(ここ)に引っ越していて、えっ!いつの間にって思いました(^_^;
DIS:ちょうど使ってない家がここ(滋賀)にあったので。
稀見 :この家は、そもそもは別荘という意味合いで購入されていた家だったんですか?
DIS:母の趣味の別荘で、誰も住んでいなかったんです。そこで僕がここに住んで、その家賃を母に払えば少しは親孝行になるかな…と。
稀見 :(笑) でも、関東からいきなりこの大自然ですよ、最初は戸惑いませんでしたか?
DIS:でも、ここ光が(高速通信)が来てるんですよ~。だから、仕事ができるならいいかなって。
稀見 :そういう訳があったんですか~。実家が京都なのになんで滋賀なんだろう、とは思っていました。ま~でも、今はネット環境さえあればどこででもマンガは描けますし、しかも送れますからね~。

ちなみに、まだ紙の原稿だった頃は、どうやって編集部に原稿を送っていたんですか?
DIS:飛行機便で送っていましたね。大阪駅まで行って「即日配達便」という飛行機で運んでくれる便があったんです。最初は、それで運んでいたんですが、後期に「新幹線便」に変わりました。
(※飛行機便:朝9時までに持っていくとその日の午後には届けてくれる)
稀見 :それは編集の方から指定があったんですか?
DIS:いえ、とにかく今日中に送れ!と言う指示だったので、原稿上がりの徹夜明けで朝に電車乗って大阪中央郵便局まで行くんです。
稀見 :京都駅じゃないんですね?
DIS:はい。ちなみに新幹線便は新大阪駅で受付です。
稀見 :ええ~そうだったんですか!
それは知りませんでした。でも、そうなると地方作家さんの方が時間的に不利ですよね(^_^; 
締め切りが、出して着くまでの分まで考慮されるわけですからね…。
DIS:いや~急いでいるときに結構ダンボールかませて梱包するのが面倒なんですよ~(^_^; 
あ、思い出しました。一度、飛行機便に間に合わなくて、そのまま新幹線に乗って出しに行った事がありました(笑)
稀見 :ええ~(||゚Д゚)ヒィィィ!
DIS:自腹で自分配達です。で、小○さんにお寿司奢ってもらって、そのままトンボ帰りするんです。
稀見 :そこは出してくれないんだ~(^_^;
DIS:そこは、遅れた者のペナルティーという事です。あと、同じように新幹線で持って行こうとした時に、”待て”がかかったんですよ。「もう一人遅れているヤツがいるから、その人の分も一緒に持ってきて」と(^_^;
稀見 :運び屋ですか!!(;゚∀゚)=3
DIS:でも、またご飯奢ってくれましたけど(笑) 
でも、よく考えたら交通費はもう一人の方と割り勘にしてもらえばよかったですよね~(^_^;
全然気づきませんでした。
稀見 :でも、自分で行くのはしょうがないかもしれませんが、普通の輸送代は編集が出してくれるもんなんじゃないんですか?
DIS:そこは小○さんはフリー編集者だったせい(※会社の経費にできなかった?)もあるかもしれません。まあ締め切り通り上げて安い輸送手段使えばいいだけなんですが、マンガ家ってそうはいかないでしょう(笑)

一度新幹線で持っていって、そのまま小○さんと一緒に写植貼って、そのまま入稿したことはありましたよ。その時は、本当にギリギリだったとは思います(^_^;


■アナログの方が”マンガを描いている”って伝わりやすい

稀見 :マンガ歴の長い先生ですが、マンガを”描く”というスタイルの遍歴などを教えていただけますか?
DIS:まずは、アナログからデジタルに変わったという事でしょうか。
稀見 :それはいつ頃ですか?
DIS:「トリプルH」がありましたよね、この4話までがアナログ、5話からがデジタルです。ペンまではアナログ、仕上げがデジタルですね。フルデジタルは「妄筆ハルシネーション」からですね。

「トリプルH」(コアマガジン)


稀見 :ここからは完全デジタルなのに、中のマンガ家さん達は、オールアナログという(笑)
DIS:やっぱり、読み手はマンガ家というと、イメージじゃないですか(^_^;
稀見 :「バクマン」もみんなアナログですからね~。
でも、あそこは作家もアナログなような気はしますが…。
DIS:やっぱり、アナログの方が”マンガを描いている”って伝わりやすいんですよね~(^_^;
稀見 :いや~夏の液タブの放射熱に耐えながら描く様もいいとは思うんですけどね(^_^; 
それを言ったら、アナログのトレース台も熱いか!?

でも、それで思い出したんですが、若い作家さんは、最初からデジタルの人が多いので、アナログ時代の文房具を知らない人がいるんですよね。「定規の下になんで10円玉を入れてるんですか?」という事を聞かれた作家さんがいるとか…(笑)
DIS:ああ~浮かせるための奴ですね。僕はこういう浮かせるための道具を使っていました。
.Tooで売ってるんです(と言って定規を見せてくれる)。

若い人は知らない? 付けペン用雲形定規


稀見 :ほ~~、今はこういうものもあるんですか、私も知りませんでした。
でも、「トリプルH」の途中という事は、だいたい2008年頃なので、遅い方ではありますよね?
DIS:そうですね、遅かったと思います。
稀見 :では、今はプロット、ネームから全て?
DIS:はい、全部デジタルです。途中のアナログ作業がめんどくさくなってきて、どんどんデジタルの部分が浸食していって、フルになった感じですね。
稀見 :でも、1冊の中で完全アナログから、フルデジタルとよく移行できましたね~。
DIS:いや、それはRAYMON先生のおかげですよ(^_^;
稀見 :いい講師がいてくれたからという事ですね! 素晴らしい!(´・ω・)/
DIS:もう、初歩的なことがわからないんですよ。なので、つきっきりでスカイプで教えてもらう感じで。だから本当にありがとうございました、RAYMON先生 <(_ _)>
(RAYMON先生は、DISTANCE先生の友達マンガ家さん。現在、先生のカラー原稿は100%RAYMON先生仕上ています!)



というわけで、残りは完全版収録になりますが、はっきり言って8割ぐらい載せちゃってます(^_^;
それでも、20年もエロマンガを描き続けてきた秘訣や、昔と今のエロマンガ界の違いなど、ちょっと作家さんには為になるお話しも、たくさん出てきますよ〜!
(下は現在の先生の制作環境、そしてRAYMON先生のレポートマンガの一部!)

現在のDISTANCE先生の作業環境!


RAYMON先生のレポートマンガ


あと、この記事には出ませんでしたが、実はDISTANCE先生、昔ペンネームを変えて(高見澤 忍)BLマンガを描いていたことがあったという事が発覚!! その記事と、資料なども一部載せていますが、なんと、同人誌を買っていただいた人にはそのマンガを全部公開する準備を進めています。(編集部の許可など…)

こちらも、楽しみにお待ち下さい!!( ^_^)/

同人誌を買ってくれた人だけに、先生の描いたBLマンガを公開予定!



■新刊情報!

エロマンガノゲンバ Vol.6
2012年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • DISTANCE
  • エレクトさわる
  • たけのこ星人
  • 服部ミツカ
その他の現場!
  • エロマンガ女子会
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 書店委託は、定価より若干高めになります。

今回のインタビューの完全版は、新刊「エロマンガノゲンバ Vol.6」に収録されています。ご興味のある方は、是非コミケ、もしくは委託書店へ!


■既刊情報!

エロマンガノゲンバ Vol.5
2011年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 甘詰留太
  • 命わずか
  • ぢたま某
その他の現場!
  • トキワ荘プロジェクトに潜入!
  • 「エロチャリ」は如何にして制作されたのか?
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。

エロマンガノゲンバ Vol.4
2010年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 鬼ノ仁
  • Cuvie
  • 井ノ本リカ子
  • Benny's
  • 新堂エル
その他の現場!
  • LOファン座談会
  • ゴージャス師走ナイト
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな

エロマンガノゲンバ Vol.3
2010年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 師走の翁
  • にったじゅん
  • 岡田コウ
その他の現場!
  • エロ本ができるまで(赤月みゅうと)
  • 携帯エロマンガの現場
  • 納本の現場(国会図書館に同人誌を!)
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託販売中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。

エロマンガノゲンバ Vol.2
2009年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 月野定規
  • 紺野あずれ
  • 柚木N’
その他の現場!
  • 図書館の現場(国会図書館、米沢嘉博記念図書館)
  • イベントの現場(三峯徹、貧困問題)
  • 座談会(米倉けんご大好き女子座談会)
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託販売中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。



【インタビュー関連リンク】
 
30 ero

女の子が描くエロマンガ(同人)は好きです...
TOP
夏コミ「エロマンガノゲンバ」以外