【速報】「エロマンガノゲンバ Vol.9...
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2013
井雲くす先生 インタビュー
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 最近ではデビューしたばかりであると言うのに既に卓越した画力、才能に満ちあふれている新人作家がとても多い。出版不況や表現規制がより厳しくなる昨今であるが、新人の競争はより激化の一途をたどっている。しかし、才能のある新人作家と言えども、商業デビュー以前に描いてきたマンガ歴、言わば助走があったからこそ、その才能が開花するものだと思っていた。そう彼女の作品を読むまでは。

しかし、井雲くす先生の初単行本のあとがきを読んだとき、私は自分の目を疑った。

 「エロ漫画どころか漫画そのものを描いたことがありませんでした(テヘ)」

 画力、マンガ構成、そして何より股間に響くこのエロさ!(*゚∀゚)=3 とても、エロマンガを初めて描いたとは信じる事ができない洗練された作品。助走なしにこんなに全力疾走できるものなのか? いや、とても信じられない! この感覚は現実を受け入れる事ができない自分への苛立ちなのか? この気持ちを解消する為には直接本人に聞いて確かめるしかない。という事で、さっそく先生にアポイントを取りインタビュー場所の秋葉原へと向かった。

でも本当は、変態女性上位、童貞マインドという先生の作品の魅力が大好きだ!と素直に言えない自分がいる事は秘密だ!(笑)

待ち合わせ場所の秋葉駅電気街口 そのままカラオケ館へ!


ゲストプロフィール
井雲くす(いぐもくす)
コアマガジン発行のコミックメガストアH(2010年11月号)にて「あたしの勝ち!」でマンガ家デビュー。新人とはとても思えない、画力と斬新なストーリーにて現在人気急上昇中。童貞卒業請負人として一歩先を行く新しい「童貞」ジャンルを切り開くべく作品を発表中。老後の夢は、水タバコのお店を持つこと…。 (HP) (twitter) (pixiv)

■スパム業者みたいな口調で最初にお金の話をされたんですよ…

稀見:今日はよろしくお願いいたします<(_ _)>
井雲:よろしくお願いいたします。
稀見:さっそくですが、先生の2冊目の単行本が先月発売されましたね! タイトルは…。
井雲:「僕だけの夕闇」です。

「僕だけの夕闇」(コアマガジン)


稀見:では、オーソドックスにデビューのきっかけを教えていただけますか?
井雲:きっかけは、「pixiv」でエロい絵を載せていたんです。ほんと、数点しか載せていなかったんですが…。その絵を今の担当編集さんがたまたま見てくれてて、連絡(メール)をくれたんです。
稀見:pixivのイラストだけでオファーをされたんですね (;゚∀゚)=3
井雲:そうですね。マンガは描いたことがなかったので、イラストだけですね。
稀見:そ、それは担当さんの先見の明ありすぎです! 
で、オファーではいきなりマンガを描きませんかと?
井雲:正直、最初はかなりうさんくさいメールだったんですよ(^_^;
なんかスパム業者みたいな口調で「エロマンガは、原稿料がいくらで、単行本になったらだいたいこのくらいの印税が入って…」と最初にお金の話をされたんですよ。
稀見:うわ~~「これだけの投資でこれだけ儲かる!」みたいな、確かにかなり怪しいオファーですね(;゚∀゚)=3
井雲:これは詐欺か何かなのか!?って思いました。しかも、案の定迷惑メールのフォルダーに入っていて(^_^;
稀見:やっぱり! 
でも、エロ業者の悩みとして、詐欺じゃないけどエロ単語で勝手に迷惑メールに振り分けられることが多いんですよね。私のオファーも結構な確率で迷惑指定を受けているらしいです(^_^; 

エロマンガ家の皆さん、チャンスは案外迷惑メールフォルダーに眠っているかもしれません! たまにはチェックを。
井雲:そのメールが来たのはデビューした2010年でした。オファーをいただいてから割と早くデビューできました。
稀見:じゃ、きっかけは本当にメール一本だけだったんですね。
オファーが来て、すぐに仕事をしようと思ったきっかけは何だったんですか?
井雲:私、専門学校を辞めて普通にフリーターをしていたんです。ただ、なんか絵を描く仕事をしたいな~と思っていたときに絵の仕事をいただいた感じでした。
稀見:ということは、マンガの前に別の絵の仕事をしていた訳でもなく、エロマンガが本当に初めての絵の仕事だったんですね。
井雲:エロに抵抗もなかったので、二つ返事で「やります!」って感じです。
というか、メールの内容が逆にうさんくさすぎて気になったのが大きいかもしれません(^_^;
稀見:いい意味で「インパクトが」があったんですね(笑)
井雲:丁寧なんですが、内容がぼかしてあるオフォーより、怪しいけどお金のことや将来のビジョンをしっかり書いてくれているメールの方が印象に残りましたね。すごいな~って(^_^;
稀見:お金に困っていた「オーラ」でも出てたんですかね?(笑)
井雲:(笑) そうかもしれません(^_^;
でも、同じ担当さんの作家さんに「あの人のメールうさんくさかったんだけど…(-_-)」って言ったら「ああ~わかる(;゚∀゚)=3」って言ってました(笑)
稀見:いきなりですが、個人的に凄く聞きたかったことをここで聞いちゃいます。初単行本の後書きに「エロ漫画どころか漫画すら初めて描いた」という衝撃的なコメントがありますね。私は初単行本を読み終わってコメントを読んで驚いたんですが、初めてでこのレベル!?(;゚∀゚)=3
いや、それは嘘だろう! 初めてでこんなに上手いわけがない! 絶対何か秘密があるはずだと未だに疑っているんですが、これは本当なんですか?
井雲:本当ですよ。編集さんにも言われるんですが、私器用貧乏なんです。わりと最初からやろうと思ったら何でも出来ちゃうんですが、ある程度まで行ったらそこから上達しないんです(^_^;
稀見:今日は「メガストアH 2010年11月号」に載ったデビュー作「あたしの勝ち!」も持ってきたんですが、初めてのマンガ、初めてのエロでこのレベルですよ!!(;゚∀゚)=3

「メガストアH 2010年11月号」(コアマガジン発行)


デビュー作の「あたしの勝ち!」


井雲:うわ~今見れたもんじゃないですよ! 
単行本でも「これ直せないよね?」ってなって直してはいないですね。うわ~~辛い(^_^; 
(デビュー作を見せる羞恥プレイ中)
でも、編集さんがよかったというのはあると思います。
稀見:編集さんからの具体的なアドバイスはどのようなものがあったんですか?
井雲:編集さんが「これは勉強になるからどんどん読んでおけ!」って本をたくさん頂きました。
で、それを読んで研究しました。
稀見:イラストなどは描かれていたとは思うんですが、マンガ形式の作品もそれまで描いたことがなかったんですか?
井雲:本当に簡単な四コマとかしか無いですね。1Pのしょーもないマンガとかしかないです(^_^;
稀見:じゃ、本当にこのデビュー作がマンガデビュー作なんですか…。
本当に信じられない…(;゚∀゚)=3
井雲:今はもっとすごい人たくさん居ますから…。
稀見:このレベルを「器用貧乏」でこなせるんだったら、もうなんでもこなせそうな気がします!!
井雲:自分が凄く好きでずーっとやってきたジャンルだったら逆に出来なかったかもしれません。
わからない、初めてのジャンルで半分ぐらい好きだったからこそ、ここまで出来たというのもあるかもしれません。
稀見:好きすぎると妥協できなくて苦しむかもしれないけど、わからないからこそ面白いと!
井雲:楽しいです!
稀見:逆に最初に来たオファーが「エロマンガ」じゃなくてもこなせたかもしれませんね。

■画面から湿り気が出てくる感じの画面が出せるマンガは参考になります

稀見:エロマンガを勉強する上で、編集さんから具体的にされたアドバイスなどはどんなものがありますか?
井雲:最初の頃はコマ割が全部同じような感じで短調だったんですが、大事なページでは大ゴマを使って、人物を大きく描く、目に留まる絵を描けって言われましたね。
稀見:マンガを描く上で特に心がけている部分はありますか?
井雲:画面作りで言うと、なるべく顔を見せる、という点ですかね。それは編集さんからも言われました「局部だけを描かない!」みたいな…。編集さん曰く「局部アップだけではヌケない!!」らしいです(^_^; 
顔があってはじめて局部が映える…みたいな?

「終夜セクソロジー」(わたしのほしいもの)より


稀見:なるほど、先生のマンガのフェチズムには若干担当さんの好みが反映されているわけですね(笑) 
でも、男性全体の総意でもある気はします。
井雲:描いている分には局部だけ描いている方が楽なんですけどね(^_^;
稀見:エロマンガを描くときに参考にした作家さん、作品、資料とかを教えていただけますか?
井雲:まずは「米倉けんご」先生ですね。
稀見:やはりか!!(;゚∀゚)=3

「淫笑う看護婦」(著:米倉けんご)


井雲:ヨネケン先生は、エロマンガもそうですがBL系でも活動されているじゃないですか? 最初名前だけはBL系の方で知っていて、マンガを描くようになってから「米倉けんご先生のマンガを読んでみたいです!」って担当さんに頼んで見せていただいたんです。
で、読んだら「すげーーー!!(;゚∀゚)=3」って!
稀見:やはりここにも、けんごイズムの申し子が…という感じです。もう女性作家で米倉けんご先生の影響を受けていない人はいないと言っていいぐらい、先生の存在という物の絶大さを思い知ります(;゚∀゚)=3
井雲:もう米倉先生を越えられる女性作家は出ないんじゃないかと思うぐらいすごい人です。

エロマンガとは別に、小学生の頃「ワンピース」にハマっていたんです。今は全然読んでないんですけど、その時にすごく模写をしたんです。なので、絵の基礎は意外とその辺にあったりするんです(^_^;
稀見:今の井雲先生の絵からは、全くその面影は見えませんね(笑)
井雲:全くないですね(^_^; 

でも、すごい好きになったのが「表情」だと思うんです。ワンピースのキャラって鼻水をすごい流しながら泣くじゃないですか、そこから表情を描くのが好きになって、自分のマンガにも取り入れようとは思っていますね。

「ワンピース」(著:尾田栄一郎)


稀見:それはすごいわかります。

先生のマンガのキャラってすごく表情が豊かなんです。いろんな表情があるというのももちろんなんですが、マンガならではのややデフォルメされた表情がすごくエロとマッチしてるんですよね(^_^; 

なるほど、そういう部分がワンピースから影響を受けたというのは納得できます。

「僕だけの夕闇」(ど……が好きなんです)より。表情がいい!!


井雲:表情フェチなんです(^_^; 
表情に関しては「この表情イイネ!」とはよく言われますね。
あと勉強になったと言うか、参考書代わりになった本で言うと、藤ます(とーます)先生とかA-10(えーてん)先生とか好きです。A-10先生のマンガも表情がすごいいいですし、汁気が多いです。画面から湿り気が出てくる感じの画面が出せるマンガは参考になります。

「Honey Syrup」(著:藤ます)


「Lord of Trash」(著:A-10)


稀見:「湿り気!」ヽ(*°ω°)ノ わかります! 
これは勝手な持論なんですが「日本のエロは湿気と共にある」って思ってるんです。特にこの日本の高温多湿環境において、その雰囲気を一番活かしているんじゃないかと! それを一番感じたのは外国のAVを観ているときですね。むこうのAVってなんか、カラッカラなんですよ(^_^; 
若い頃は無修正に騙されて気づいていませんでしたが、だんだん「何かが違う!」って思って来たんですよ。それが湿気だったんです!
井雲:確かに! カラカラしてるから「シーハーシーハー」言ってるんですかね(笑)
でも、汗で湿っているとより肌と肌がくっついているってわかりますからね。
稀見:実写だと実際に湿気を作って上げればいいですが、マンガで表現するのは確かに難しいですよね。汁と湿気は大事です!!
でも、こういう参考になるマンガ表現をどんどん吸収して、こんな短期間でここまで描けるようになるのは、やっぱり器用貧乏以上の才能もあると思いますよ(^_^;
井雲:何も知らなかったからこそ、吸収できたというのはあると思いますよ(^_^;
稀見:いや(`・ω・´) 確かに、短期間でぐーーーんと上手くなる作家さんはいるんですが、あまりにも短期間なので、絵に関して言えばもの凄く参考にしたものの影響が大きく出るんですよ。
先生の場合、参考にした物の影響と言うよりは、先生の個性の方がより強く出てると思うんですよ。ここまで上手く吸収し、自分のものにできる人はそういないと思いますよ!
井雲:いやいやいや(^_^; 
でも絵柄とかは今時の可愛いキャラには合わせようとしていますよ。


■童貞キャラが好きなのはこのバンドの影響じゃないかと

稀見:今のマンガを描く上で参考、影響を受けた作家さんではなく、もう小さい頃好きだった作家、作品、メディアとかを教えていただけますか?
井雲:昔っからマンガっ子で、ジャンプは読んでましたね。そこからワンピースも読んだんですが。マンガ自体は家にありましたからね…、父がオタクなんですよ(笑)
稀見:もうマンガに偏見がない世代の親御さんですね! 羨ましい(;>_<;)
井雲:2階の一室をマンガの部屋にしてるんですけど、量がありすぎて床と壁の間にすきまが出来てるんですよ。
稀見:重すぎてたわんでいる感じですね!!(;゚∀゚)=3
井雲:あと、音楽だと、「GOING STEADY」(2003年解散)とか「銀杏BOYZ」という童貞臭い曲を作ってるバンドが好きで聴いてて、今たぶん童貞キャラが好きなのはこのバンドの影響じゃないかと思っています。結構男目線で「あの子が好きだよ~~♪」みたいな歌詞にオナニーとか絡ませた感じの曲でしたね。バンドのボーカルの峯田和伸(みねた かずのぶ)さんという方は、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(原作:花沢健吾)の映画の主人公とかもやっています。
稀見:確かにサブカル臭をすごく感じます。何故か、吉祥寺、高円寺、阿佐ヶ谷あたりを感じます(笑)
井雲:またマンガに戻りますが、自分の絵とは全く関係ないんですが、「世紀末リーダー伝たけし!」(著:島袋光年)が凄い好きなんです。今「トリコ」描いてる方ですね。人生で一番好きなマンガです(^_^; 全然エロ関係ないんですが…。

「世紀末リーダー伝 たけし!」(著:島袋光年)


稀見:いや、直接は関係していないかもしれませんが、何かを創作する上で好きなものが影響されていないという事は多分ないですよ。見えない部分に大きな影響が出ているかもしれません。でも「たけし!」だと確かにわからないかも(笑)
井雲:ちょっとエッチなヤツだったら「地獄先生ぬ~べ~」(原作:真倉翔・作画:岡野剛)は凄く好きで読んでましたね。あと「バスタード」(著:萩原一至)とか…。これは結構エロいですね!

「地獄先生ぬ〜べ〜」(原作:真倉翔)


巻を増す度にエロくなるぬ〜べ〜(笑)


稀見:「バスタード」はエロいけど、それ以上にすごい作品でしたね! 画面の迫力がすごすぎて逆にエロく感じないぐらいでしたね…。
井雲:そうですね、上手すぎてヌケないタイプかも(^_^;

「バスタード」(著:萩原一至)


稀見:お父さんの影響でとにかくマンガには恵まれた環境だったんですね。ちなみにお父さんの職業は?
井雲:いや、普通の会社員ですね。本当に何の変哲もない人です。
稀見:普通のマンガオタク(笑)


■幼稚園の頃、エロマンガが部屋に普通に置いてあったんです

稀見:さっき、ジャンプのエッチなマンガは好きでよく読まれていたという話はお伺いしましたが、微エロではなく、エロメディアに初めて触れたときのお話しなどはありますでしょうか?
井雲:生まれて初めてエロマンガを読んだのは幼稚園の頃なんです。これも父親絡みなんですが…(^_^; 
エロマンガが部屋に普通に置いてあったんです
稀見:(;゚∀゚)=3 普通に?
井雲:今でも覚えているんですが、「猫耳とらっぷ!」(著:みなみゆうこ)というマンガでした。
たぶん子供は見てはいけないものだと理解しながらも読んでいて、それ読んだことを何故か父にアピールしに行ったんです(笑)

「猫耳とらっぷ」(著:みなみゆうこ)


稀見:何故!? 
なんかよくわからないけど、訴えたかった!?
井雲:おとうさん、あのマンガ読んだよ~~ヽ(*°ω°)ノ」って。

私また最近読みたくなったんです。しかも、「猫耳とらっぷ!」は白夜書房さん、コアマガジンさんの親会社なので、編集さんに在庫ありませんか?って聞いたんですけど、無いみたいで(^_^;
稀見:「漫画ホットミルク」に載ったものを単行本化したものなので、白夜ですね。まだ成年マークが無かった頃なので、かなり古いマンガです。もしかしたら私が持ってるかもしれません
(注:持ってました)。
でも当時から猫ミミとはお父さんもセンスがいいですね(笑)
井雲:でも、父にそのエロマンガを見せに行ったとき、軽い夫婦喧嘩中だったんですよ(^_^; 
だから私の話は全然聞いてくれなかったですね。
稀見:ちなみにお父さん、もしくはご両親は、今の先生の職業についてどのあたりまで知ってるんですか?
井雲:マンガ描いてることだけは伝えてはいます。たぶん、薄々わかっているとは思いますが、言っては来ないです。
稀見:オタクの両親にマンガ描いているって言って、何も聞いてこないというのは、まずわかってますね(^_^; 絶対調べてるはずです。でも、そこで言ってこないところに親の愛を感じますね!
井雲:そうですね(^_^; わかっていて、「アンタがそれで生活できてるんだったら別にいいんじゃない~」という感じだとは思います。
稀見:そうですね、悪い事して暮らしているわけじゃないですからね。しかも、「猫耳」に萌えていたお父さんなら、逆に応援して欲しいぐらいですよ(笑)


■たぶん私の性格がもともと悪いんだと思います

井雲:私が描きたいと思う話は読者受けしないタイプの話が多くて…、ドS系のヤツもそうなんですけど。基本売れたいと思って始めた仕事なんで、その辺は妥協して自分の描きたいものと混ぜつつ描いています。
稀見:個人的には「ドS系」って最近は来てるような気もするんですけどね~。
井雲:茜さんが出している「Girls forM」とかあるじゃないですか? でも、あれはドS過ぎてびっくりしちゃいましたが(笑)

「Girls forM」茜新社


稀見:ドS系は好きになった理由とかはあるんですか?
井雲:え~なんだろう? たぶん私の性格がもともと悪いんだと思います(笑)
稀見:悪いんですか?(^_^;
井雲:悪いです。口も悪いです。
稀見:それは単に口が悪いだけで、性格が悪いかどうかは別じゃないですかね?(笑) 
って、口も悪いようには感じられませんよ。
井雲:でも最近編集さんから「おまえ馬鹿にしてるのか!」って言われますよ(笑)
私、虐めている人と虐められている人を観るのが好きなんです(^_^;
稀見:BL的、上下関係を眺める感じですね。
井雲:あと強い女の人が好きですね。おっきな武器を持って闘っている感じの…。なんていうか、自給自足の生活が出来そうな(^_^;
稀見:自立した女!と言う感じですかね。確かに、先生のマンガにはそういうグイグイリードする女性が多い感じはします。でも、その対比としてかはわかりませんが、なよなよしたいわゆる女性らしい弱いキャラもいたりして、その辺のキャラが存在することで、より強い女が引き立つというのはあるかもしれませんね。単行本で言うと「Basement LABO」とかはそうですね。

「BasementLABO」終夜セクソロジーより


井雲:そうですね。あと、飽きっぽいというのもあるので、ドS系ばかり描いていると飽きるので、なよなよした女性も描きたくはなります。新刊の方もそう言うバランスになっています。
稀見:作品の話にシフトしてきたので、本格的に作品の内容についてお話を伺おうと思います。

まず、井雲先生の作品全体の大きなテーマの一つに「童貞」というのがありますが、この童貞ものを軸にしようと思ったきっかけとかを教えていただけますか?

おにいちゃんのどーてーほしかった!


井雲:これもたぶん面白くない話になると思うんですが…。編集さんとどういう話を描いていこうかとなったときに、私がどういうものが人気があるんですかって聞いたんです? 
そしたら、やっぱり女性優位の方が人気があるよ!って教えていただいたんです。じゃ、私童貞キャラが好きなんでその路線で行きましょう!ってなったんです。
稀見:その「童貞キャラ」が好きと言う理由はどのへんなんでしょうか? 先ほど、好きなバンドが「童貞」っぽい曲を作っていたというのをお伺いしましたが、そのあたりとリンクしているんでしょうか?
井雲:そうですね、していると思います。いろんな童貞がいるので単純ではないとは思いますが、何ていうんですか、口で説明しづらいですね(笑) 
一言で言ってしまえば「かわいい!」です。処女厨みたいなものかもしれませんが、憧れを持っているというか、体は綺麗な状態だけど、心にドロッとしたものを持っている状態じゃないですか? そういう所が好きなんだと思います。
稀見:ある意味「ピュア」な所ですよね。そうなると、30歳を超えた妖精は童貞をこじらせすぎて「ピュア」じゃないので、また別格になります(笑)
井雲:そこまで変なゆがみ方をしちゃう童貞だと嫌ですね(^_^;
童貞を好きになるきっかけになった人が高校の同級生にいたんです。
稀見:きっかけ童貞!?
井雲:同じバイト先で仕事してたんですけど、そのバイトの男の子には彼女がいて、雑談で「彼女とはどこまで行ったの~~?」って話を振ったんです。私はてっきり「手を繋いだよ!」「キスしたよ!」みたいな答えが返ってくると思ったんですが、彼は「いや、まだ童貞だよ!(-_-)」って答えたんです。その時に「こいつ面白いな~~(*^_^*)」って思ったんです。
稀見:若い男が気にする部分って確かにそういう所あるかも…(^_^;
井雲:その事をちょっと自信なさげに言ったところがまたよかったですね。「これいいな~~!」って思いました。
稀見:その答え自体が、童貞っぽいですよね(笑)
井雲:童貞の感覚がとても新鮮でした。
稀見:なるほど、男の誰もが最初は童貞ですから、童貞を意識し始める時期の男の子の不安定なかわいさが魅力なんですね。そうなると、処女厨とは何が違うんでしょうかね?
井雲:大きく違うところとして、処女厨は処女を失った瞬間に手のひらを返すようにその女の子に冷たくなるんですけど、童貞好きは「童貞卒業おめでとう!!」なんです!
稀見:シンジ君状態!!!(;゚∀゚)=3 なるほど、童貞という状態に価値があるのではなく、失うまでの過程全てが愛おしい、そして卒業がほほえましい!
はっ!(;゚∀゚)=3 だから単行本のカバー下の表紙が「卒業式」なんですね!!!

カバー下マンガ 童貞卒業式!


井雲:そうです、そうです(^_^;
稀見:そういう先生の愛する童貞を軸にしたマンガを描いていこうと…。そこで思い出されるのが、エロマンガ界で「童貞」といえば、ある意味この人が切り開いたと言っても過言ではない「にったじゅん」先生がいらっしゃいます。にった先生にお話を聞いたときに童貞ものの一番難しい、というか辛いところは、童貞ものは一度しか使えないので、連載や固定キャラの話が描けないという話が出たんですよ。
井雲:それ私もよく言ってます(^_^; それでひねり出して考えたのが、「出し切るまでが童貞です!」「アナルではやってないので童貞です!」みたいなこじつけを…(^_^;

アナル童貞も私がもらう!!


稀見:童貞の拡大解釈!!(;゚∀゚)=3
井雲:でも、この方法も使ってしまうとまた使えないことには変わらないんですが…。
稀見:確かにこの壁を越えるのは難しいですね。新しく童貞ものに挑戦しようと思っている作家さんには、どうにかこの問題を解決して欲しいものです。ひらめきのブレイク・スルーを!!
そういう意味では、BLに童貞ものというジャンルがある事を知ったときの方が衝撃的でした。というのも、「え、どっちの話!?」って最初わからなくて、BLにおける童貞の概念が何なのかという部分がすごく気になりました。あれもある意味、ブレイク・スルーです。

「b−Boy 童貞特集」(発行:リブレ)


井雲:確かに、攻めが童貞? それとも受けが処女? あ、処女が童貞?? わけがわかりません(笑)
「わたしのほしいもの」という話では、2話あるので童貞喪失2話目に持ってこれるよう、1話目は挿入無しでいいですか?って担当さんに聞いたんですが、ダメって言われました(^_^;
稀見:今のエロマンガでは「挿入」は必修科目ですからね~。でも、このお話、一応妹がお兄ちゃんの童貞を奪う話の「童貞もの」ではあるんですが、妹の変態性が凄くよくでていて、エロくて好きです! 先生のこういう特殊性癖女子の話好きですね(^_^;
井雲:私も描いていて楽しかったです。
稀見:新刊の方でも「ど……が好きなんです」という作品で、上司の童貞を奪う変態女子の話があるじゃないですか。あの一途な変態は本当にいいですね!!
井雲:スイッチが入って、豹変するギャップがいいのかもしれませんね。
稀見:先ほどドS系が好きだとおっしゃってたじゃないですか、でも実際にはアマアマ、ドS非常に緩急を付けて描かれているので、野球じゃないですが、次に来るボールがどういう変化をするのかわからないところが読者として楽しみでいいですね。
井雲:緩急を付けている理由に、ドSばかり描いていると体位が固定しちゃうというのがあるんです。女性上位になるとどうしても体位が騎乗位ばかりになりやすいんです。なので2話つづけて騎乗位だけというのも短調なので…。構図のネタ切れになりやすいです。

ドS騎乗位! た、たまらないです!


稀見:これは描き手ならではの現実的な悩みですね。正常位やバックで攻めるポーズを取らせるのは確かに難しい気はします。アドバイスを受ける上で「おっぱい」に関してはやっぱり巨乳がいいという話などは出ましたか?
井雲:あ~そうですね。やっぱり大きい方がいいですね、とは言われました。でも、基本的に「先生の作品は展開が読めない」って言われますね。売れるような話を考えて描いているんですが、気づいたら自分の描きたいものを好き勝手描いているんですかね~(^_^;
稀見:個人的にはそういう部分を先生の味として活かしていければとは思うんですが、私のような一読者がいくら言っても、売れないとダメですからね~(^_^;
井雲:なので最近は、かけるところまで描いてダメだったら直そう!という感じで描いています。新刊に収録されている「完璧な彼女」は、掲載時は「これからもよろしくね」という感じで、奴隷みたいのが続く状態で終わってるんですけど、ネームだと女の子が被害者面してクラス中に言いふらして男の子をどん底に落とすような話だったんです。もう、絶望のどん底状態ですね(^_^; 
でも、そういうのはちょっと…、みたいな感じで通りませんでしたね。

「完璧な彼女」(僕だけの夕闇)より


稀見:救いようのない話ですね(^_^; 個人的にはバッドエンド好きなんですけどね~。
後味の悪さと共存するエロスをもっと理解して欲しいです。
井雲:私も、雑誌の中にこういう作品が1つはあってもいいと思うんですけどね。
稀見:私は推します! 
こういう童貞+ドS、そして後味の悪い作品(笑)は先生の作品の立派な特徴で、その軸は2冊目になっても全然ぶれていないと思います。
井雲:ありがとうございます。

と、ブログではここまで!
同人誌では、先生の創作の原動力、エロ妄想の真髄に迫るぞ! 先生自慢の可愛いペットも紹介しちゃう( ´ ▽ ` )ノ

11月上旬のアキバ、カラオケ館にて… 奥に居るのが井雲先生!




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