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ぢたま某先生 インタビュー

2011
命わずか先生 インタビュー
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今回インタビューさせていただく先生は、ふたなり業界(どんな業界?)で知らない人はいないという「命わずか」先生。というわけで先生のお仕事場のある埼玉県川越市へ…。

JR川越駅へインタビューで訪れるのは2度目!




川越にお邪魔するのはRaTe先生のインタビュー以来2度目。ふたなりマンガの頂点の二人が住んでいるなんて、川越は「ふたなりの聖地」と言っても過言ではない!(笑)


当日は青空澄み渡る秋晴。絶好のインタビュー日より! 聖地でのインタビューという事もあり、同じく川越在住のRaTe先生にもご一緒いただきました。


ゲストプロフィール
命わずか

2000年5月「コミック ピコラ」(平和出版)よりデビュー。奇抜な設定、読者の想像のナナメ上を行く展開で、多くの読者、レビュアー、作家などから高い評価を受ける今のりに乗っている女流作家。ふたなりものを得意とするが、その枠に捕らわれない自由な発想で常に新境地を見いだしている。今一番描きたいマンガは「オナホールマンガ」


■「エロはどうやら買い取りがあるらしいぞ!? 」と聞いて…

稀見  :川越にインタビューしに来たのはRaTe先生以来2回目です。ホント、横浜からは遠いです。途中で何度も心が折れそうになりましたが、何とかたどり着けました(笑)

それではよろしくお願いいたします。
命わずか:よろしくお願いいたします<(_ _)>
稀見  :まずは定番のペンネームの由来を教えていただけますでしょうか?
命わずか:昔ウッチャンナンチャンがやっていたTV番組に『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』というのがあったんです。

その中のコーナーに「殉職刑事(デカ)」というのがあって、毎回刑事が出てきて死ぬんですが(笑)

その登場人物に「命影郎(いのちかげろう)」というのが出てきて、その妹の「命わずか」というキャラも出てくるんです。

『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』より


で、「なんて女らしい可愛い名前なんだろう!」って思いまして、そのまま自分のペンネームに使っちゃったんです(^_^;

その当時ウッチャンナンチャンの同人誌を出してまして、そういう理由もあってこういう名前になったんです(笑)
稀見  :では、「命わずか」というペンネームを使う以前は、どういう名前で同人活動などをされていたんですか?
命わずか:たぶん、本名でやっていたと思いますね(^_^;
稀見  :「ウッチャンナンチャンの同人誌」という事は、ファンの同人誌? それとも… BL的な…(^_^;
命わずか:は…はい、後者ですね(^_^;
でも、ほぼその頃からだと思います、同人活動を始めたのは。
稀見  :とてもいいペンネームですよね、一度聞いたら忘れません。
命わずか:あ~~意外とそういう反響が多くて「あ~そうなんだ」って改めて感じましたね。
稀見  :デビューのきっかけはどういう経緯だったんですか?
資料によると、「ピコラ」(2000年5月号)でのデビューとありますが…。

「ピコラ」平和出版(2000年5月号)


デビュー作の「サービス」


命わずか:本当は、その前に桜桃書房の方に持ち込みしてまして、その時は「代原(=代理原稿。何かあったときに載せる代わりの原稿)として使うので、預かっておきます」って言われたんですが、そのまま全然連絡が無かったので、じゃいいやと思って返してもらって、それをそのまま「ピコラ」に持ち込んだんです(^_^;



その時は「ピコラ」を特に意識したわけではなく、コンビニ売りの本の方が合っている気がしたので、平和出版へ持ち込みました。でも、こっちも代原でしたが(^_^;
稀見  :では、投稿ではなく直接持ち込んでデビューとなったわけですね。
命わずか:当時アシスタントをしていまして、で、それはエロじゃなく少年マンガのアシスタントだったんです。そこの仕事場で、他のアシスタントさんや、先生などの話で「エロはどうやら買い取りがあるらしいぞ!?」というのがあったんです。


ようするに、原稿を持って行って、使えそうという判断されたらその場で原稿を買い取ってくれる!という事なんですが、いや~もちろんデマなんですけど(^_^;


その先生は昔エロをやっていたらしく、先生の時代ではあったらしいんですけど…。
稀見  :そうですね~、劇画時代の70年代から80年代初頭だったらあったかもしれませんね。
命わずか:なので、そういう話を聞いていたので、生活に困った時に、その場でお金もらえるのかな~という感じで行ったんです。(笑)
稀見  :じゃ、特にこの出版社がいいという目標があったわけでは無く?
命わずか:いくつかの雑誌の連絡先をメモって、いくつもの出版社に電話をかけて、それで一番最初に話を聞いてくれたところ(平和出版)だったんですよ(^_^;
稀見  :デビューの経緯は、ま~お金という部分と、目に付いた出版社(笑)だったというのはわかりましたが、アシスタントをされていたという事は、やはり元々はマンガ家を目指していた?
命わずか:はい、子供の頃からマンガ家になりたかったんですよ。なので、小さい頃から少女マンガ雑誌に投稿していたんです。

で、上京していろいろ持ち込みとかしていたんですけど、なかなかうまく行かなかったので、アシスタントとかをしていたんです。

そういう状況の中で少女マンガの編集さんから、「絵柄がムチムチしすぎているんじゃない?」(笑)
って言われたんですよ。「女の子の足はもっと細いんだよ! なんかエロマンガみたいだな~」とか言われて…(^_^;



そのとき、じゃもしかしてそういう方面でもやれるのかな?って凄く安直に思っちゃったんです。
稀見  :なるほど、絵柄を指摘されて方向転換をしてみたというわけですね!

でも、そう言われたからといって、パッとエロに方向転換ってすぐにできるものですか?
エロとかに抵抗はありませんでしたか?
命わずか:いや~、あまりなかったですね。というのも、うちの実家が喫茶店で結構学生が集まるお店だったんです。基本的に男の人がよく集まるお店だったので、男性向けのマンガ雑誌をたくさん置いていたんです。

私は少女マンガを読みたかったんですが、置いてなかったのでしょうがなくそればっかり読んでたんです(笑)
稀見  :男性向けというと、「ビックコミック」とか「ヤングジャンプ」とかの青年コミック系ですか?
命わずか:そうですね。だから、エロに関してもそんなに抵抗はなかったですね。
稀見  :デビューは2000年で、そこから本格的に作品を発表する2004年まで少し間が空いていますが、この間はどのような期間だったんでしょうか?
命わずか:最初に代原として載ったはいいんですけど、その後定期で載せるまでのレベルに達していない感じだったので、ネームを持ってこいって言われてやり取りはしていたんです。

でも、やっているうちに、桜桃書房で出していたアンソロジーがあって、そっちの方だったら割りと自由に描けるらしいので、そっちで描いてみないか?って言われて、そっちでもネームのやり取りをしていたんです。

でも、なんか都条例のなんかのせいで、企画自体が潰れちゃったんですよね(^_^;


でも、雑誌に載せるまでには作品感も合ってないしって言われちゃって、そんなこんなで…。
稀見  :2002年あたりに「松文館裁判」などがあった時期ですかね?

その関係で、いろいろ企画が流れたとは聞きますが、まさかその余波を受けていたとは…。
命わずか:なので、時間かけて描いたのにこんな事になっちゃってめんどくさいな~(^_^; ってなっちゃったんですね。それで、ちょうどその時にコミケに申し込んで受かってたんです。

で、その時に描いたマンガをそのままコピーして出したら、それが結構いいお小遣いになったんですよ(笑)

「あれ、もしかしてこっちの方が仕事になるんじゃないの?」って(^_^;

それで、しばらく同人の方でやってました。
稀見  :では、商業の方で頑張るよりは、その時は同人の方が向いているなと思って、主に男性創作の方で活躍されていたと!
命わずか:そうですね~、あと基本的に商売が好きなんですよ。だからお客様に受ける物を、喜んでもらえるものを考えるのが楽しかったんです。なので、意外とこっちの方が向いているのかな~と思ってやってましたね。
稀見  :男性向けジャンルとしてコミケに参加されたのはこの時期あたりという事ですが、「ジャンル」はどういうものが多かったですか?
命わずか:あんまり考えてなかったんですけど、「ギャルゲー」が多かったと思います。最初にスペースが取れたときに、友人に男性向けではどういうジャンルのパロディーの本が売れるの?って聞いたら、ギャルゲーじゃないかと…。

確かその時期に「ときメモ2」あたりが出た頃だったので、じゃそれだって、適当に提案されて(笑)で、適当に描いたんです(^_^;



でも、もともと「エロゲー」も好きでよくやっていたので、その後に「Leaf」とか移行していきましたね。
稀見  :あ、確かに「ToHeart」の同人誌とかありますね!

当時のメインジャンルだったゲーム系同人誌「爆発まるちっち!」


命わずか:ああ~これ本当に売れなくて(笑) 私、何かしらないんですが、ロリとか描くと昔から本当に売れないんですよ(^_^;

わりと好きで描いていたんですが…。ロリよりは巨乳の方が人気があるみたいですね。
稀見  :やっぱり「ムチムチ」系の方が人気があるんですかね?(笑)
少女マンガの編集さんの言っていたことはあながち間違っていなかった。

コミケ以外の別の即売会にもよく出ていましたよね?
命わずか:そうですね、もう毎月出ていましたね…。
稀見  :毎月!(;゚∀゚)=3
命わずか:一月に一回描けば何とか食べていけましたからね(^_^;
だから毎月描かなきゃって言って描いてました。
稀見  :でも、決めたからって描けるもんじゃないですよ! 
ジャンルはたくさんありますが、そこから話を考えるのはパロディーでも大変ですから!
命わずか:でも、本当にちゃんと「エロ」を描こうというよりは、下ネタの延長みたいな感覚が凄い強いのかな~とは思いますね。そういう下ネタギャグマンガをそのまま起こしている感じですかね?
稀見  :その下ネタマンガをしっかりまとめて、毎月描くという作業はやっぱり才能がなければ描けないと思いますよ。
ある意味、そういう(常に描き続けてきた)部分が今の先生のマンガの下地になっている気はします!




■恋愛とエロが繋がらなかったんです…

稀見  :アシスタントの仕事はどのくらいされていたんですか?
命わずか:2年ぐらいですかね?
1年ちょっと少年マンガの方で専属で入っていて、そのあといろんなところに募集がかかったらお手伝いに行く形でした。でも、女性作家さんのところは長く続かなかったですね(^_^;



いや~すごく「綺麗なもの」を要求されるんですが、私は本当にもの凄く時間をかけて丁寧に描く仕事ができなくて、も~疲れちゃって(^_^;
稀見  :最初アシスタントをされていたという事は、マンガ家になるために上京してきたんですね!
命わずか:違いますね(笑)



じ、実は…、ミュージシャンの追っかけをしていまして…(^_^;


そのアーティストがあんまり売れなくなっちゃって、東京でしかライブをしなくなっちゃったんです。それまでは、全国でライブを行っていて、それを追いかけ回していたんです。

実家が石川なので比較的追っかけ易かったんですが、東京でしかしなくなってしまったので、じゃそうなったらもう東京に行くしかないと(^_^;


すいません、くだらない理由で…。
稀見  :で、出てきたはいいけど生活をしなくてはいけないから、仕事としてアシスタントを…?
命わずか:はい、普通にアルバイト情報誌とかを見ていたら募集が出ていたので(笑)
給料はそんなに多くはなかったんですが、何より泊まっているときはご飯をいただけたので(^_^;
稀見  :まかないじゃないですが、衣食住の「食」が確保できたというのが大きいと(笑)


紆余曲折あって、最初の単行本「伝説のちん娘を探せ!」が出たわけですね。このタイトルって「ちん娘(ちんこ)」でいいんですよね?(笑)

初単行本の「伝説のちん娘(ちんこ)を探せ!」2006年発行


命わずか:ああ~そうですね、はい、ちんこです(笑)
稀見  :内容なんですが、主に女装男子なんですよね。でもって、男性向けエロなのである意味「男の娘」の先取りなんじゃないかって思いましたよ。
命わずか:先取りなんですかね(^_^;

言われてみたらそうかもしれないんですが、私的には「ブリジット (GUILTY GEAR)」とかが流行っていた頃だったので、それが普通だと思ってました。
稀見  :この単行本は同人の再録もありますが、同人をやっていてオファーされたんですよね?
命わずか:そうですね。この本を出してくれた出版社でなく、別のところで描いたものをまとめてもらったんですが。ここの出版社は、最初のほうに、ゲームのアンソロジーなんかもやってまして、しかも結構な量のタイトルを出す予定だったので「ラッキー!」って思いました(笑)
稀見  :あ~これは毎回描かせてもらえるかも!? みたいな。
命わずか:そうなんですよ、毎月2冊とか出していたんですよ。だからうまく行けば月に2本描けるかも、そしたらお金になるかも!って(笑)



で、その出版社から「P-mate」というギャルゲー系のエロマンガ雑誌も創刊するみたいな話になって、そこでオリジナルものを描かせていただいたんです。そこで描いたものが、「伝説のちん娘を探せ!」に入っている感じですね。同人誌の再録は、ページ埋めですね。

「P-mate」(宙出版)


稀見  :先生の初期の作品から改めて読み直してみたんですが、先生の作品って、最初からぶれてないんですよ!

どんな作家さんでも、初期の頃っていろいろ試行錯誤して、いい意味での作品のブレがあるんですが、命先生はもう「最初から全速力!」(笑)というか、自分の描くべきエロを貫いている感じがするんです。
そういう自分の作風とかはどのように意識されていますか?
命わずか:いくつかの雑誌を読んで、活躍されている作家さんの作品などを読んでみたら、比較的「恋愛もの」が多かったんです。
でも、それが自分にはあんまり合わなかったんです。

よくわからないんですが、恋愛とエロが繋がらなかったんです(^_^;


男女がお互い好きになって、ラブコメ的な展開になって、その後にエロシーンになると思うんですが、その間をどうしていいかわからないんです。実際の恋愛でもそうだと思うんですけど、そこまでの展開って普通はスパンが長いものじゃないですか?

なので、そこを一気にマンガにする事への違和感からか、うまく組み立てられないっていうのがあるんだと思います。

何だかよくわからないけど、そういうエロ展開になっちゃう話とか、エロいことをしなくちゃいけない仕事とか、逆に描きやすいな…と(笑)
稀見  :恋愛からエロまでのストーリーがうまく描けないと…。
命わずか:話自体を考えることは好きなんですよ。でも、その展開とエロが結び付かないんですよ~(^_^;
稀見  :じゃ、もし恋愛マンガを描くとしたら、エロは入れたくない感じになる?
命わずか:そうですね~、エロは入れたくないかもしれません。
稀見  :命先生のエロ無しの恋愛マンガはそれはそれで読んでみたいですね!


■エロマンガってこういうの有りなんだ!

稀見  :命わずか先生の作品の1つの軸でもある「ふたなり」についてお話を伺いたいと思います。

先生の作品の初期の段階から、ふたなりというテーマで多くの作品を描かれてきたと思うのですが、そもそもこの「ふたなり」というテーマを描こうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
命わずか:たぶん一番最初に描いた男性向けの同人誌にもふたなりを描いていたと思うんですが、もう当たり前だと思っていたんですよ。学生の時に立ち読みで読んだエロマンガに「上連雀三平先生」の作品が載っていたのを覚えていて(笑)
稀見  :上連雀先生だと、ふたなりというよりは、おちんちん、オトコの娘の可能性も大きいですね!
命わずか:そうだったんですよね!
後から確認するとどうもそうだったらしいんです(^_^;

「アナルジャスティス」(著:上連雀三平)


エロマンガはふたなりが当たり前??


その頃は、どうもふたなりだと思い込んでいたみたいで…。で、学生だから買うことができなかったんですけど、その時に「エロマンガってこういうの有りなんだ!」って思ったんですよ(笑)


だから、最初からそういう(ふたなり)のが普通だと思って描いちゃってたんです。
稀見  :なるほど、エロマンガ=ふたなり、だったんですね(笑)

最初に出会ってしまった作品が上連雀先生で、幸か不幸か(失礼)先生の作品の方向性を決めてしまったと!

時期的に「アナルジャスティス」あたりですかね?
命わずか:そうですね、そのあたりだと思います。私の中では上連雀先生のマンガがエロマンガのスタンダードだと思い込んでいたので(^_^;

で、デビューした後に改めて他のエロマンガを買って読んでみたら、「あれ? これふたなりが載ってないな?」って(^_^;
稀見  :俗に言うふたなりブームって時期的に2004年だったと思いますね。主に、アンソロジーが多く出はじめたのって…。そういう意味では、時代が先生の作品を後押ししていたとは思います。
命わずか:いや~最初は単純に仕事が速いので、そういう理由でオファーしていただいていたんだと。一番凄かったのが、新しく発売されるエロゲー用のマンガを描いて下さい、って言われたんですが、そのオファーを頂いたのが月末だったんです。
で、締め切りいつですか?って聞いたら、翌月の5日だ!って言われて(^_^;



でも、ページ数が8Pだったので何とかなるかな~って思っていたんですけど、何のゲームのマンガですか?って聞いたら、まだ決まってない、って言われて。
稀見  :まだ決まっていないゲームのマンガを描けと!
命わずか:そういう理由もあって、前の作家さんが逃げちゃったらしいんですよ。で、何とかなるかも知れないと、私にオファーが来たみたいなんです。最終的にゲームが決まったのが3日で、そのゲームできるんですか?

プレイしてからマンガ描くんですか?って聞いたら、まだ発売してないゲームなので設定だけ送るので、これ見てなんかありそうな感じで描いてって(笑)
稀見  :そんな無理難題でも、命先生なら描いてくれるだろうと(笑)
命わずか:もう、それだけで仕事をとってきましたから(^_^;

原作も知らず、3日で描いたマンガがこれ??


稀見  :でも、そういうプレイヤー(作家)も必要枠だと思いますし、なにより作品量が半端ないです。約7年で14冊ですからね~(^_^;

2009年なんて、1年で4冊単項本出してますから。こんな事成年系のマンガでは奇跡に近いですよ。
命わずか:その年はたまたま重なったんですけど、それまでに描いた量から考えたら毎年4冊出ていてもおかしくはない量なんですよ~。それぐらいお蔵入りしてる作品が多いんです!



でも、お蔵入りしてるマンガは結構普通の性癖の話も多いので、今単行本に収録しても「何だ、この普通のマンガ?!」って思われちゃいそうで(^_^;
稀見  :それぐらい、今の先生の作品の印象が強いって事ですよね(笑)



よく後書きとかに「こんなマニアな本を買っていただきありがとうございます」みたいなコメントを書かれていますが、自分でも本流ではないエロマンガを描いているという意識はあるんでしょうか?
命わずか:いや~~(^_^; 編集さんに言われるんですよね(笑)

でもこれでも、ほっておくともっと酷いマンガを描いてくるので、編集さんがそれをコントロールしていることで、まだ読めるマンガになっているんだと…。
稀見  :(;゚∀゚)=3 なんと、制御してこれだけのマンガを!! エヴァの拘束具状態ですか!!



個人的に、エンジェルで描かれていたふたなりシリーズの中でも「女竿師」が大好きなんです。この本は、もう至高の1冊じゃないかと個人的に思っているぐらいです!

「女竿師」(エンジェル出版)


命わずか:ありがとうございます(^_^;


自分でも割りと気に入っていた作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです。でも、大して売れなかったらしいんですが(^_^;
稀見  :特に「ディルド市場・女達の闘い」の話が、もう何度読んでも大好きで…。

「ディルド市場・女達の闘い」オッパイで競りの合図!サイコー!


命わずか:もう確実に綺麗なおねーさんとかを求めている人からしたら、そんなもの求めてない!って作品ですよね(^_^;
稀見  :いやいやいや~、エンジェルで描かれている大人の女性なんかは、とても色っぽくて好きですよ!
命わずか:自分も、どっちかというとそっちの方が描きたい方なんですが、かわいい系の方を要求されることが多いですね。

あと、「笑いを入れてくるのがウザイ!」とは言われますね~。抜こうと思っているのに笑っちゃうじゃん!って(笑)
稀見  :笑いながら抜け!と言いたいです(笑)

作品の作り方の話になりますが、まず最初にどういうところから発想するんですか?
職業とか?
命わずか:え~~と、プレイですかね(^_^;
それから、疑似行動ができる職業を考えますね。だから、その後にキャラクターで、逆にキャラからは話は作れませんね。
稀見  :確かに奇をてらった話が多くて、そういう意味では「上連雀先生」の正当な後継者かもしれないですが…(笑)
確かに普通のエロ読者には抜きにくい話かもしれませんが、それでも命先生の作品って、エロマンガ雑誌だからこそ表現できる作品だと思うんですよ!

一般誌では絶対にできない話でもあるわけで、これはこれでマーク付きの本でできる立派な表現だと思います!
命わずか:私もそうは思うんですが、求められているものがそうじゃないんだろうな~とは思いますね(^_^;
稀見  :その辺は、読者にレベルアップしてもらいたいですね(笑)
命わずか:これで抜けるようになれと(笑)
稀見  :「隠語カバディー」(すぽ魂!!)で抜けと(笑)って、私は読んで笑い転げましたけど(^_^;


■編集さんに「何とかします」と言って、何もしない…

稀見  :現在の作画の環境は、どうなっていますか?
命わずか:オールデジタルですね。液晶タブレットに直描きで描いています。ネームから仕上げまで、そこで全部やっちゃいますね。
稀見  :No Paper! ですね。でも、最初はアナログだったんですよね?

先生の貴重なプロット


ネームは無しでいきなり下絵から!


命わずか:はい、でももう残ってませんね~。
稀見  :え!? (;゚∀゚)=3
命わずか:クーラーの下のところに本棚があるんですけど、そこの上にずーっと原稿を置いていたんですよ。そしたら、クーラーから水が漏れて…(^_^;
稀見  :(||゚Д゚)ヒィィィ!
命わずか:もう、ぐちゃぐちゃになってましたね~(^_^; なので、もう二度と収録できないという…。



でも、デジタルに移行したのはかなり早い段階でした。商業で描き始めたぐらいから、もうデジタルで描いていましたね。割りと一生懸命色を塗っても印刷で飛んじゃうので、だったらCGだったらうまく出るかな~って思って…。

で、モノクロもその時に一緒みたいな感じですね。
稀見  :それはちょっと気になってたんですよ。初期のマンガ原稿って、比較的グレーが多かったじゃないですか? まだコミスタとか無い時代だったので、CG塗りで描いていたのかな~って思って。
命わずか:そのころはフォトショップですね。
でも、線画だけは最近までペンで描いていて、それをスキャンして仕上げをデジタルで描いていたんです。オールデジタルは最近ですね。でも、未だにコミスタは全然使えないですね~(^_^;
稀見  :という事は、今はコミスタを利用している?
命わずか:いや、違います。ペンはSaiを使っていて、仕上げはフォトショップですね。

デジタルに移行したときにコミスタで描こうと思って頑張ったんですけど、1P描いただけでもう挫折しました(^_^; 
「僕のバスガイド日誌」(しちゅぷれ収録)の1話の1Pだけコミスタで描いたと思います(笑)
稀見  :コミスタを使う以前に、別のソフトを利用してた人って、コミスタへの移行がしづらいとはよく聞きますね。デジタルでの慣れや習慣というのがなかなか変えられないようです。

ところで、原稿の進め方は、まずプロットからですか? これはキャラ表ですか?
命わずか:そうですね。何をするかという事とキャラクターの絵を一応最初に描いておけば、どうやら後で思い出せるという事に最近気づきまして(笑)
稀見  :で、プロットからネームを起こすと、こんな感じになると…。でも、この段階で本当にしっかり描かれていますね。
命わずか:下書きをしないで、そのままペンを入れるので、ある程度は描きますね。
稀見  :ネームが下書きという事は、この段階で編集さんに見せるわけですよね?
命わずか:はい、見せていろいろ言われるんですが、それの返事で「直しません!」って言うか、「何とかします」と言って、何もしないとか…(^_^;

だって直しとか入ったらスケジュールがずれちゃうじゃないですか~(笑)



■「も~ほんとやめて下さい…」って言われて(^_^;

稀見  :やはりふたなり好きとしては聞いておかないといけない質問なんですが、先生のふたなりチンコは俗に言う「玉あり」ですよね。ふたなり界では「玉あり・なし」「クリ有り・無し」などの細かい属性があるんですが、その辺についてはどうお考えですか?
命わずか:玉は重要ですね!

やっぱりグロさが増すからいいですよね~(^_^;

なんか、土手(恥丘)に急に生えている感じだと綺麗すぎて嫌かな~、綺麗な方がダメですね。いや~汚ければ汚いほどいいんですよ!(笑)
稀見  :これも熱い議論になるんですが、おしっこは男性側から出るのか?女性側から出るのか?とか話題になるんですが、命先生は「両方から出る派」なんですよね!

ようするに、尿道は繋がっているという…。
これは新しい発見でした!
命わずか:そうですね、繋がっているという設定が好きですね。ふたなりというよりは、もう「改造」に近い感覚ですかね?(^_^;

編集の人に止められやすいジャンルではありますけどね…。でも、止められるというと「スカトロ」ですね~。
稀見  :でも、スカトロ自体はコンビニ誌じゃなければ、完全にNGって訳じゃないですよね? 
ま~雑誌のカラーにもよりますが。
命わずか:そうですね、ダメじゃないとは思うんですが、基本読者に嫌われるから止められますね~。
稀見  :スカトロと言えば、先生の最近の作品だと「快楽出産のススメ」の中の「ゴッドハンド」が凄かったですね(笑)

妊婦もので、アナルフィストという。

「ゴッドハンド」より手でウ○コをかき出す!


命わずか:それも、もうできるだけ減らせって言われましたね(^_^;

でも、実際に妊婦さんが便秘になるという事はありますよね? だから自分の中では普通に繋がっていた感覚だったんですが(^_^;

ま~妊婦ものだから一回ぐらいは出てくる話でしょうぐらいの…。でも、「も~ほんとやめて下さい…」って言われて(^_^;


稀見  :スカと言えば、先生のホームページのリクエストコーナーも、今大変なことになってますよね? もうスカだらけで(笑)
命わずか:あれはリクエストコーナーじゃないですよ(笑)



一時期さすがに自分の絵が雑すぎるって思い始めて、もうちょっと練習しなければいけないと思ったんです。できれば1日1回仕事以外で絵を描こうと思って、描いてはサイトに上げるようにしていたんです。そしたら、それを見た人から「こういう絵を描いて下さい!」と、リクエストしてくるようになって…。

でも、人からお題をもらった方が楽じゃないですか?

で、知らないキャラとか教えてくれるし、そうやっていろいろやっているうちになんかどんどんエスカレートして行っちゃって(^_^;
稀見  :どんどん無理難題が増えてきて(笑)
命わずか:いや、そっちの方が燃えるんですけどね(笑)
稀見  :そのカオスな状態を私の知り合いが見て「命先生はどこへ向かっているの?(;゚∀゚)=3」って、マジに心配していました(笑)

先生どこへ向かっているんですかリクエストイラストその1


先生どこへ向かっているんですかリクエストイラストその2


命わずか:ああいうリクエストって女性の方が好きなんですよね~。だから女性向けのジャンルを頼まれることが多くなってきてるんですよ。
その中でも、変態性を出していきたいと思って描いていたら、もうどんどん訳がわからなくなって来ちゃって(^_^;
稀見  :ちょうど女性向けの話が出てきたので、そっちのお話もお伺いしたいと思います。

最近、女性向けBL雑誌「ピアス」と「コミックJUNE」でイラストなどのお仕事をされていますが、BL系のマンガのお仕事の依頼というのは今まではなかったんですか?

「コミックJUNE」BL系のお仕事もちらほらと…


命わずか:全然なかったですね~。向こう側からしても、私がBLを描くという認識はあまりなかったみたいではありましたね。

初めて依頼があったときも、もの凄く気を使って依頼してくれましたし(^_^;
稀見  :それは意外ですね。もうたくさん来ていて、スケジュールの都合で断っていたのかと思っていました。
同人の方では、結構描かれていましたからね…。

じゃ、もし今後そういう依頼があったら是非描きたいですか?
命わずか:全然やりますよ~~(笑)
もっと自分の幅を広げたいです!

ショタのアンソロとかも全然来なかったんです。自分では、やりたそーなそぶりを見せていたつもりだったんですが(^_^;

エロマンガを描いている出版社さんで、BLの部門があるところとかもあるじゃないですか?

そういう部署を紹介して下さいって言うんですけど、紹介してくれないんですよ(笑)
稀見  :でも、BL系でも「ピアス」と「コミックJUNE」はエロがきつめな方だと思うので、先生には向いている気はしますけどね。
命わずか:そうなんですよね~。読んでみて驚いたんですが、あれでマーク無しで読めるなんて(^_^;




■「オナホが主人公のマンガ」が描きたいんですよ!!

稀見  :一時期「オナホール」にはまっていたとお聞きしましたが(笑)
命わずか:今でもはまってます(笑)



いや~なんではまったんだろう? 最近アニメ系のネタっぽいオナホってあるじゃないですか? 面白いな~と思って、のぞいてみたら結構お値段が手頃だったので買ってみたんですよ(^_^;

それと、ディルドを買って入れて遊んだり(笑)していたら、「こ、これは凄くエロい!!」って思い始めちゃったんですよ。

それ以来、もの凄く集めてますね。結構いろんな形のがあって、面白いですよね。
稀見  :そうですね~、最近特に買いやすくなりましたよね。とらのあなとかにも普通に置いてありますからね。
命わずか:さすがに胴体付きのまで行くと高くて手が出ないんですけど、千円~二千円ぐらいので、面白いのがあったら買っちゃいますね~。もう30個ぐらいはありますね。それにディルドを入れて遊ぶと楽しいんですよ~(*´∇`*)



それで、私オナホのマンガが描きたいってずっと言ってるんですけど…。

買って来たオナホで妄想プレイ1(HPより)


買って来たオナホで妄想プレイ2(HPより)


稀見  :でも、オナホを使うマンガは何作か描かれていますよね?
命わずか:いや、出てくるマンガではなくて「オナホが主人公のマンガ」が描きたいんですよ!!
稀見  :(;゚∀゚)=3 オナホが主人公……。
命わずか:いろいろ試していると、ディルドが大きくて入らないオナホとかあるんですよ。なので、「じゃ、こっちは入るかな、じゃこっちは??」ってやっているうちに「ハッ! この子輪姦されてる~~~~~! (;゚∀゚)=3」って思って、でも「この子は一切文句は言えないのね」っていろいろ妄想して…(^_^;
稀見  :オナホ人格マンガ…(^_^;
命わずか:一切擬人化はしません(笑) マンガの中でセリフを言っても、それは一切人間には聞こえないと…。

ま~でも、そんなマンガ絶対通りませんよね~(^_^;
稀見  :うわ~~それ読んでみたいです。(実は先生のPixivページで読めます! こちら) ある意味「伝説」になると思いますよ!


命わずか:いや~是非通ってほしいですね!








実はPixivで先生のオナホマンガが読めるぞ!



■公開できるのはここまで!!!(;゚∀゚)=3

すいません、これ以上はあまりにいろんな意味で危ないので、ブログでの公開はここまでです(笑)
最初はセーブ気味だったインタビューですが、徐々にヒートアップしてどんどん過激な方向へ(といっても、読者が着いて来れない方向へ(笑))

というわけで、未公開部分は「エロマンガノゲンバ Vol.5」の完全版で!
(コミケ初売りですが、とらさんでは予約受付中です)

エロマンガノゲンバ Vol.5
2011年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 甘詰留太
  • 命わずか
  • ぢたま某
その他の現場!
  • トキワ荘プロジェクトに潜入!
  • 「エロチャリ」は如何にして制作されたのか?
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。

RaTe先生のレポートマンガも!


もちろん命わずか先生自身のレポートも!


インタビュー後、駅近くの飲み屋で打ち上げ。もうオフレコバリバリの危険トークでさらい盛り上がりました(^_^;
最初にのみを入れてからインタビューした方がもしかしたら面白かったかも知れません(笑)

インタビューは川越駅近くのカラオケ屋にて



■既刊情報!

エロマンガノゲンバ Vol.4
2010年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 鬼ノ仁
  • Cuvie
  • 井ノ本リカ子
  • Benny's
  • 新堂エル
その他の現場!
  • LOファン座談会
  • ゴージャス師走ナイト
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな

エロマンガノゲンバ Vol.3
2010年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 師走の翁
  • にったじゅん
  • 岡田コウ
その他の現場!
  • エロ本ができるまで(赤月みゅうと)
  • 携帯エロマンガの現場
  • 納本の現場(国会図書館に同人誌を!)
「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託販売中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。

エロマンガノゲンバ Vol.2
2009年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 月野定規
  • 紺野あずれ
  • 柚木N’
その他の現場!
  • 図書館の現場(国会図書館、米沢嘉博記念図書館)
  • イベントの現場(三峯徹、貧困問題)
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「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託販売中です。
COMIC ZIN とらのあな
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エロマンガノゲンバ Vol.1
2009年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
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30 ero

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