ども、
稀見理都です。
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。ようやく明日(もしくは明後日)に「ゴージャス宝田先生 インタビュー」を掲載できる準備が整いました。
同人誌の製作を優先したので、ブログの方が、まっ、いつも事ですが疎かになってしまい申し訳なかったです。(^_^;
と言う訳で「
前夜祭」というわけではありませんが、インタビューを前に恒例のちょっとしたゴージャス宝田先生のコラムを書こうと思います。
【関連】
「ゴージャス宝田先生」インタビュー
■「キャノン先生トばしすぎ!」はいろんな意味ですばらしい!
2年前に
全エロマンガファンが泣いた、感動作にして、変態エロマンガという名作「キャノン先生トばしすぎ!」。個人的には、「キャンとば(略)」はエロマンガ界において、キャノン以前、キャノン後と歴史を分けるほどの(まさにエロ紀元
AC、BCと言ってもいいでしょう)作品だと思っている。
何度も言いうが、エロマンガは
100人100エロの世界。他人が抜けたから自分も抜けるという保証が限りなくない世界。そんな世界で、誰もがこの作品がすばらしい!と納得させられたのが「キャンとば」であった!
いや、確かにみんなが抜けるか!?という点においてはそれは確かではない。しかし、抜けてなんぼ!というエロマンガの価値基準が大部分を占める世界において、感動、喜びが、抜き至上主義より勝った!という出来事は、ある意味
エロマンガ界に新しい価値基準を提示し、そして読者がそれを支持した結果であろう。
それはエロマンガではなくて普通のマンガとして認められたて事?
いやいやそうではない、エロマンガでなければ「キャンとば」は成立していない。エロがあって、抜き要素があるからこそ、この話が成立しているところが「
奇跡の名作」なのだ!!
エロマンガ界における「
パラダイムシフト」を起こした作品として、歴史に刻まれるすばらしい作品だと、個人的にはお勧めしたい!!
ただ、こういう感じに「キャンとば」はすでにいろいろなところで語られてきた。エロマンガ家の熱い情熱、挫折、苦悩、喜びを見事に描ききった「
えろまんが道」としての評論。(先生自体は、この「えろまんが道」という表現は、そんなたいそうなものじゃないと非常に嫌がってはいたが…(^_^;)
また、キャノン先生の変態ぶりが、
ぶっ飛んでいる事に対する、エロの表現論など、本当にいろんな切り口があるマンガであるが、今回はちょっと変化球の、ゴージャス先生のキャラクターへの考え方と、そこから描き出されるキャラ自体の容姿を中心に簡単に語ってみようと思う。
■キャラクターの髪型を変えても問題はない
私が「キャンとば」を読んで非常に感心した事は、キャノン先生の服装と髪型が、毎回しっかり変わっているという事だった。
論より証拠まずは見てもらおう。
コミックヒロイン♀の編集部で最初にあったときの、キャノン先生である。カチューシャを付けたシンプルなストレートであるが、次の回では…
ツインテールにして、服装もふりふりワンピースと、非常にかわいらしい。
と思ったら…
三つ編みから、サイドに髪をまとめてた髪型(なんて言うんでしょうか?(^_^;)と、かなり変幻自在だ。
さて、この絵だけをみるとパッとは同一人物か判断できないかもしれないが、不思議な事に、マンガを読んでいたらなんの迷いもなく、
素直に彼女が「キャノン先生」だと理解できる。
はっきりと言うが、マンガ家(特に男性作家)が登場人物(特に女子)の服装や髪型を各話で変えると言う事は、かなり
やりたくない行為だ。
理由は、髪型を変えたり、服装を変えると
別のキャラに見えてしまう危険性があるからだ。キャラは、髪型や服装を含めて
1つのアイデンティティーになる部分があり、それをあえて変える事は、みている人を混乱させるリスクがある。
いや、それはもちろん裏を返せば、キャラクターを描き分けるスキルがない!と言ってしまえばそうかもしれない。でも、やっぱり怖いものである(^_^;
できれば避けたい気持ちが出る部分でもある。(ギャルゲーなどは、髪の色が違えば別人!という記号的な要素までもってる訳だし)
しかし、ゴージャス宝田先生はそんな事を気にしない。そこには、先生ならではのもっともな理由があるからだ…
■キャラクターの設定があれば、キャラは勝手に動き出す!
ゴージャス宝田先生の話作りは、最初にキャラ作りから始まる。わかりやすい例として「おりこうシリーズ」に出てくるヒロインには、みんなストーリーには出てこない細かい設定がある。
これは、あとから考えたものではなく、まず最初に先生が決める事とインタビューで語ってくれた(同人誌「エロマンガノゲンバ」参照)。
ただ、私もそれはうすうす感じていて、キャラクターありきの、ストーリーになる前のワールドを作ってしまうという、結構高等テクニックだと考えていた。
「
ファイブスター物語」しかり、古典では「999」「ハーロック」が混在する
松本零士のような世界設定のなかでキャラが勝手に動き出すのを待って、そこを話にすると言う…
そうするためには、キャラクターの存在自体を根本的にシミュレーションする必要があり、ストーリーには出てこない部分であっても、どこまで彼女たちを理解できるかという点に置いて、
絶対に必要な作業なのだ!!
なので、ゴージャス宝田先生が毎回キャラクターの服装や髪型を変えるのは、作画としての挑戦ではなく、それは必然の行為となる。
女の子だったら、ファッションや髪型を気にするのは当然で、かつ恋をしている状態だとしたら、なおさらいろんな事をしてくるのは当然であり、そういう
「乙女心」まで先生はしっかりと把握している事を絵は示している。
そして、何の不思議もなく受け入れて読めるという事は、キャラクターの容姿ではなく、キャラ自体が持っている内面をしっかり先生が描けているという何よりの証拠なのだ!
ただ、基本的にヒロインが1キャラクターとして出てくる話が多いのと、キャノン先生の場合は、キャラ自体が濃い!と言う部分から、多少変えても分かるんじゃないかと、ゴージャス先生自体は少し謙遜していたが、私はやっぱり先生のキャラ力のたまものだと確信している。
■簡単なまとめ
キャノン先生にはいろいろな楽しみ方がある。いや、宝田先生の作品はそれぞれ、いろんな読み方や楽しみ方、そして抜き方があるのだ(笑)
今回は、ヒロインのファッションを中心に、すこし語ってみた。あれだけハードなエロマンガを描く割には、先生のファンには結構女性が多い。それは、やはりマンガの中のヒロインが、彼女たちからしてそんなに現実離れな存在ではなく、同じ女性としての心(気持ち)を持っているからではないだろうか?
ヒロインのファッションを中心に、もう一度先生の作品を読み返してみてはいかがでしょうか?(^_^;
■次回!ようやく「ゴージャス宝田先生」のインタビュー掲載!!!
6月後半に行ったインタビューのブログ版!をいよいよ明日、もしくは明後日に公開します。先生の魂のこもった
叫びを聞け!!
「ゴージャス宝田先生」インタビュー
■関連書籍
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著者:ゴージャス宝田 発行日:2008年1月 1,200円(税込) |