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2010
にったじゅん先生 インタビュー
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今回のインタビューは今までにない緊張感に包まれていた。それはもちろん、この業界においても謎のベールに包まれている「にったじゅん」先生のインタビューということは言うまでもない。

いや、「にったじゅん」は、そもそも存在しているのか? そんな疑問さえ100%疑えない、そんな人物でもある。

ここまで言うと、「またまた~そんな、単なるあおりでしょう!」と言われるかも知れないが、結構マジである。なにせ、同じ業界でも先生に会った人はめったにいないのだから…

はたして、にったじゅん先生の童貞、いや道程を聞くことはできるのであろうか?!

ゲストプロフィール
にったじゅん

「コミック花いちもんめ」(1994年メディアックス)でデビュー。「童貞もの」という新たなジャンルを開拓し、その第一線で活躍中。「童貞が許されるのは小学生までだよね−」というコマがAA(キモーイガールズ)として引用され、一躍脚光を浴びる。最近はまっている事は、河川散歩。


■でも、普通に始まるインタビュー

稀見:今日はお忙しい中、本当にありがとうございます。それではよろしくお願いいたします<(_ _)>
にった:よろしくお願いいたします<(_ _)>
稀見:今回のインタビューは3回目になりますか?
にった:2ちゃんねるの雑誌でしたっけ? は覚えていますが、あと1つは何でしたっけ?
稀見:にったじゅんの真実」という同人誌(CD-ROM)で、対談のようなものをなさっていましたが…。
にった:ああ~、あれは私の友人が私の原稿やら下書きを集めて同人誌を出す!というので「じゃ、いいよ~」って感じでOKしたんです。対談と言っても、友人相手の雑談のようなものだったので、私自身はインタビューを受けたという印象が残ってなかったですね(^_^;

「にったじゅんの真実」同人ソフトで現在も購入可能


稀見:最初の2ちゃんねるの雑誌ですが、確かコアマガジンですよね、やっぱり例の「キモーイガールズ」のアスキーアートがブームになったときに依頼が来たんですよね?

「2ちゃんねるぷらす Vol.3」


キモーイガールズブレイク直後にインタビューを受けていた


にった:自分ではそのAAがいつ流行し始めたのかがよくわからなかったので(笑)「今話題のあの人にインタビュー」みたいな企画で、インタビューしていただきました(^_^;

ちゃんとした質問事項はあったのですが、私の話し方が取り止めなかったので、ほとんど雑談の中から記事を起こしていただいた感じでしたね…。
稀見:デビューのきっかけは何だったんでしょうか?
「にったじゅんの真実」によると、エロマンガ以前に一般の方でデビューしていた!という記載があったんですが?
にった:え? いや、デビューはしてないですね…。
稀見:え! ということは、あのネタはガセ?!(^_^;
にった:なにか話の行き違いがあったみたいで…、デビューは1994年の「花いちもんめ」ですね~。


デビュー作が掲載された「花いちもんめ」(メディアックス)


稀見:デビュー当時は、ペンネームの読みは同じですが「にった」が漢字でしたね。(新田じゅん)
これは、いつから「にったじゅん」に改名なされたんですか?

デビュー作「家庭教師はきっと大変だ!」ペンネームは「新田じゅん」


にった:コミックハウスさんで載せてもらった「コミックドライアップ」と「コミックライズ」までは漢字でした。このあと、コミックハウスさんをクビになって(笑)「カラフルBee」の編集部に持ち込むときに、ペンネームをちょっと変えてみよう、という話になったんだと思います。じゃ、ひらがなに…って(^_^;



漢字の新田だと古くさいイメージがあるからと編集さんに言われてひらがなにと…(笑)
稀見:では、まずは「花いちもんめ」でデビューするきっかけについて教えていただけますか?
にった:この当時は、エロマンガ雑誌をやたら買っていた時期ではあったんです。エロマンガ雑誌全体がすごく元気があるな~という印象だったんです。
稀見:この頃は特に「コミックハウス」全盛の時期でもありましたよね。
にった:コンビニにコミックハウス系の雑誌が何冊も並んでいた印象がありますね~。

で、その上、雑誌の色がエロマンガだけじゃなくて、非常にフリーダムというか、ギャグ有り、SFあり、とにかく何でもありだったので、その自由さに惹かれたというか…。


自分でもエロギャグとかナンセンスものをやりたいという気持ちがあったので、一般誌よりはこっち側なのかな~って(^_^; そして、原稿をコミックハウスさんに持っていったんですよ。この時点では、いつも買っている本の編集さんだから…という軽い気持ちではありました。(^_^;


同じコミックハウスさんでも「ペンギンクラブ」よりは「花いちもんめ」の方が新人が採用されやすそうな印象があったので(笑)

当時一番人気の高かった「ペンギンクラブ」


稀見:確かに、あの当時一番売れていたのは「ペンギンクラブ」だった気はしますね。個人的には「花いちもんめ」はすごく好きな雑誌なんですが、確かに私が好きなものは微妙な位置の雑誌ではあるかも(笑)

で、投稿作品を編集さんに見せたときの感触はどうでしたか?
にった:最初に持っていった作品が、小学生ぐらいの男の子が中学生の女の子にやられる、みたいな話だったんですが、もう1本描いて持ってきてよ~って言われたんです。なので、もう1本同じような男の子がやられる(笑)話を描いて持っていったら、そこで初めてその編集さんが「男の子が攻められる話じゃなくて、男が女の子を攻める話を描いてきてよ~。

男の子が攻められる話だと、うち(雑誌のカラー)じゃないから」って言われたんです(^_^;

なので3本目に、デビュー作(家庭教師はきっと大変だ!)になった話を描いて持っていってようやくOKになったと(^_^;
稀見:では持ち込みをして、2作ダメ出しされて、3作目でデビューとなったわけですね。比較的自由だと思っていた、エロでもそういうダメ出しがあったんですね~。
でも、当時の「花いちもんめ」ってそんなカラーあったっけな~(^_^;
にった:この後カラフルBeeに行ったんですが、マショウ(当時は魔翔)時代になるまでは、男の子が攻められる話は、男性読者に受けない!というイメージがかなり強くあったんだと思います。
なので、そういう話を描きたかったという部分が強かったせいか、結構ダメ出しされましたね(^_^;

「カラフルBee」(ビブロス)


稀見:そういう意味でいうと、デビュー前の持ち込み作品から、にった先生の軸はブレていないんだな~っと(笑)

最初の単行本「ちゃんぷるるー」でもダメ出しはされていたとはいえ、半分ぐらいの作品は先生のそういうスタンスがよく現れていたとは思います。すでに「童貞」というキーワードもこの時点で出てきていますし(^_^;

初単行本の「ちゃんぷるるー」(ビブロス)


すでに「童貞」というキーワードは登場していた!


にった:そうですね。明確な女性上位的な話はないとは思いますが、編集さんのOKが出るギリギリのラインでそういう話を描いていた気はしますね(^_^;

まだ、マショウのように「童貞」という話を中心に持ってくる感じではなかったですが、思いついたシチュエーションはこうだった!という感じでしたね。
稀見:改めて、先生の作品を最初から読み直してみたんですが、本当にそういう意味では、軸がブレていないな~と感じましたよ!
なので、時代があとから追いついてきた!という印象を強く感じました(笑)
作品自体の表現方法が変化したのではなく、時代が先生の作品に追いついてきたと!




■あのコマは私の中ではそんなに特別なコマという意識はあまりない

稀見:もう何回も何回も聞かれて嫌気がさしているかとは思いますが(^_^; 
「キモーイガールズ」に関して…。

この作品(PAY BACK)描いている時には、まさかこんな事になるとは思ってはいませんでしたよね?
にった:思ってないですよ~(笑)

でも、不思議と気に入ったコマではあったんですよ~。 ただ、このコマだけが後に切り取られて話題にしていただけるとは夢にも思っていませんでした!(^_^;

「PAY BACK」この話の1コマがブレイクの引き金!


稀見:という意味ではやはり一番驚かれたのは、にった先生本人だったんじゃないかと(笑)


でも、こういうセリフは今まであったようでなかった非常に「キャッチー」なセリフで、なおかつ正面から受け止める言葉じゃないけど、心の片隅にどうしても引っかかる、ある意味オタクの琴線に触れる微妙なところが印象強かったんじゃないかと…。


あと、フキダシを入れ替えて楽しめる「テンプレート的」な使い方もブレイクした要因でしょうね。



で、もうあのブレイクから6年以上経ち、いまだに使われていたりもする息の長いものになってもいますが、改めてあの現象は何だったんだろうな?と振り返ることなどはありますか?
にった:話題にしていただいたのは、すごいラッキーだったとは思うんですが、そこだけが非常に目立ちすぎてしまったというか、あのコマは私の中では、そんなに特別なコマという意識はあまりないんですよ。その辺は誤解があるのかなと…(^_^;
稀見:それはすごくわかります。にった先生のコアなファンであれば、あのコマは非常ににった先生のマンガの中では「普通」のコマだと思うんですよ。いや、もちろんつまらないという意味ではなく、「にったワールド」的には非常にあたりまえの光景で、あそこだけが「特別」でその他の作品が「普通」という訳じゃないんですよね~(^_^;
にった:AAとして貼られてあのコマを目にする人は多くなったのは確かですけど、だからといって、じゃマンガを読んでみようと思った人は少ないんじゃないかと(^_^;
稀見:でも、圧倒的に絶対値が増えたので100人に1人だったのが、1万人に100人になったのは確かなので、あのAAからマンガに興味を持ってくれた方も多いとは思いますよ~。そうでなければ、あんなに版数は伸びなかったと思いますよ!
にった:ありがとうございます(^_^;




■ただ単にチンコが好きだった

稀見:にった先生が影響を受けた作品、メディアなどがあれば教えていただけますでしょうか?
にった:もちろん、いろんなものに影響は受けていると思うんですが、もの凄くこれに!という作品が思い至らないんですよ(^_^; なので、いつもこの手の質問を受けたときに困ってしまうんですよ…
稀見:では、小さい頃に読んでいたマンガなどはありますか?
にった:あんまりお金がなかったので、マンガはそんなに買えなかったんですよ。なので、だいたいマンガ本を持っている友達やいとこの家に行って読んでたりしましたね。

ちょっと年上のいとこなんですが、すごく大量にマンガを持っていて、そこでまとめてズーッと読んでたりしましたね。最近になって思うのは、もの凄く影響を受けたというわけではないんですが、「ドラえもん」などで基礎的な部分で影響を受けたのかな~と感じるところはありますね。

その他にも手塚治虫の「どろろ」とか「魔神ガロン」とかを借りてきては、何度も何度も読んだ記憶はありますね。

「どろろ」(著:手塚治虫)


「魔神ガロン」(著:手塚治虫)


稀見:この作品が好き、印象に残っているというよりは、マンガ自体を楽しんでいたという感じですか?
にった:そうですね~。その作家さんが好きだから読んでいるというよりは、それがあるから読んでいるという…。
稀見:幼少の頃の思い出などはありますか?
にった:どちらかといえば、家に閉じこもっていた事の方が多かった気はしますね。でも、中学校ぐらいの頃は友達と、一日中自転車でうろうろするという事をしてましたね(^_^;



その時に仲のよかった5,6人の友達といったん家に帰って、自転車に乗ってみんなで集まると、どこへ行くともなくズーッと自転車でうろうろしゃべりながら走っているという生活が結構あったような気がします(^_^;
稀見:ああ~その気持ちわかります。目的が明確にある訳じゃないんだけど、そのメンバーで集まる事が楽しかったという(^_^;
にった:あと、同人誌というレベルでは全然ないんですが、マンガを描く友達とは「肉筆回覧誌」というか、ルーズリーフで綴じたファイルにマンガを描いてはみんなで回し読みをする、みたいな事はしてました(笑)
稀見:では、マンガ自体を描いたのはその頃から?
にった:いや、コマを割ってマンガを描いていたのは、もう小学校の頃からですね。しかも、その頃からエロマンガを描いていたとは思います(^_^;
稀見:えっ!!(;゚∀゚)=3
にった:ま~、小学校1年生の頃からマンガは描いてはいたんですが、2年生の時に何故か知らないけど、皮を被った状態の子供チンコと、剥けた状態の大人チンコを比べたりするようなマンガを描いたりしてましたね(笑)

こういう風にむけます!みたいな(^_^;
稀見:そ、それはすごい!!
にった:そんなマンガを描いては、女の子に嫌がられてました(笑)

女の子に「何してるの?」って聞かれて、「マンガ描いてる」「みせて!」となって見せるとチンコが描いてあるという(笑)
稀見:なんか、もの凄い才能を感じました(笑)

でも、確かにその頃の子供って、やたらチンコが好きだったりしますよね。性的な意味ではなく(^_^;
にった:そうですね。でも、かといって女の子の裸を描いていたかというと、描くようになったのはもっと後で、とにかく最初は「エロ」とかそういう意味ではなく、ただ単にチンコが好きだったという…(笑)
稀見:もちろん描いている本人も、何かエロい衝動があって描いていたという感じではなかったと…。
にった:ただし、女の子に絵を見せるときに、ややセクハラの意図があったんじゃないかと(^_^;
稀見:(笑) 女の子をちょっとからかう感じで見せていた!


■中学の時には、もうはっきりエロマンガを描いていました

稀見:では、純粋に最初に「エロ」を感じたものは何になりますか?
にった:何だったかな~。確か、床屋さんにあったちょっと大人用のマンガ、雑誌名やタイトルなどは忘れてしまいましたが、それを読んだときに興奮を覚えましたね(^_^;

たぶん、あれが最初だった気はしますね。
稀見:俗に言う「エロマンガ」ではなく、大人向けのマンガの中に出てくる、エッチなシーンとかですよね。小さい頃は、衝撃は覚えてるんですが、確かに作品名まで覚えてる事はあまりないかもしれませんね。
にった:中学の時には、もうはっきりエロマンガを描いていました(^_^;
稀見:はやっ!
にった:近所に小中学生用の児童館があったんです。そこに、図鑑とかいろんなものが置いてあったんです。
そこに学校の友達と一緒に行って、エロ探しをするんです。辞書のエロい言葉や、人体図のような…(^_^;



で、なぜか石膏の置物で、チンコがマンコに挿入されているものが載っている本があったんですよ。しかも、断面図で!
稀見:ええ~(;゚∀゚)=3 そ、そんなものがあったんですか、児童館に!
にった:もちろん、生殖の秘密みたいな感じで大まじめな本なんですが、それを友達と見て「ああ~やっぱりセックスってするんだ!」って! 



なんかうわさ話で、「赤ちゃんを作るにはセックスするんだぜ!」みたいな話がまわってて、内心「ホントかよ!?」って思ってたりしたんですが、その図鑑を見て「やっぱりそうなんだ!(;゚∀゚)=3」って…。

それを見て以来、セックスではないんですが、マンコに何かを突っ込んでみるマンガなどを中学生の時に描いていた気がしますね(^_^;
稀見:にった先生は、セックス自体よりは「性器」に、こだわりや興味があるような事をご自身でもどこかに書かかれていましたよね? それははやり、こういう原体験があったからかもしれませんね。
にった:そうですね、性器好きなんです(^_^;


あとは、一緒に遊んでいた女の子がそれを見たときに、ちょっと照れたような顔をするのが好きでしたね(笑)
稀見:そこも、基本小学生の時と同じなんですね(笑)

セクハラというか、女の子の恥ずかしがる仕草なども、1つの性癖として持っていたんですね!


ちなみに、その時描いていたマンガにはストーリーのようなものはあったんですか?
にった:いや、ストーリーと呼べるようなものはなかったですね。そのシーン(エロ)だけが唐突に描いてあるという感じでしたね(^_^;

今でもそうなんですけど、ストーリー全体をあまり考えるという頭になってなくて、なにかのシチュエーションだけがポンと浮かんできて、起承転結を考えてネーム切るというよりは、まずはそのシーンを描きたいと! 持ち込みに行くぐらいまでは、マンガを描くと言っても基本そういう行為でしたね。
稀見:持ち込みするようになって、初めてストーリーマンガを描いたと…。
にった:ちゃんとまとめなくちゃいけないんだ!(笑)というのは、持ち込みするようになって思いましたね(^_^;
稀見:学生の時に描いていたエロマンガなどは、誰かに見せていたりはしたんですか?
にった:当時のマンガ友達とかには見せてましたね。
稀見:マンガ友達というのは、具体的にみんなもマンガを描くんですか?
にった:クラスメイトで、お互いマンガが好きで、描いていたりする友達もいました。
稀見:では、具体的にマンガ家を目指そうと思ったのはいつ頃だったんですか?
にった:えーと、大学出たときに知り合いでマンガのアシスタントをやっている人が「1人アシスタントが辞めるんだけど…やってみない?」みたいな話があって、そこからですかね? ちょっと目指そうと思ったのは…。 それまでは真剣にマンガ家になりたいと思った事はなかったですね。
稀見:逆に、何かやりたかった職業みたいなものはあったんですか?
にった:いや、あまり…(^_^; 

というか、就職したくなかったので(笑)

毎朝、同じ時間にラッシュの電車に揺られて通勤するのが、とても耐え難いと思っていたので、通勤しないで出来る仕事はないかな~と、甘い考えを持ってました。基本的に、私自身がもの凄く不器用なんで、就職して仕事をうまくやっていくというビジョンが見えなかったので…。
稀見:サラリーマンのような仕事には、自分には向いていないと自覚していたという事ですね(^_^;
にった:友人に声をかけられて「じゃ行く!」と軽い気持ちでアシスタントを引き受けたんですが、やっているうちに、自分の出来る方面はこっちかな~とは何となく感じました。

というか、どうせ苦労するなら好きな事をやって苦労する方がいいかな…って(^_^;

でも、じゃマンガ家を目指すと言っても、一般誌向けのストーリーとかも全然思いつかないし、どうしようかなーと思っていて、でもエロだったら描けるんじゃないかと…。
稀見:そりゃ、中学の時から描いてましたもんね(笑)
にった:本当に描きたかったのはやっぱり「エロ」じゃないかと!
稀見:その頃特に注目していた作家さんや、参考にした作家さんなどはいらっしゃいますか?
にった:そうですね。雑誌はもの凄く大量に買って参考にしていた気はしますね。

作家さんで言えば、今、くしくも同じマショウで描かれている「上連雀三平先生」や「後藤寿庵先生」とかですかね…。

エロもあり、そしてギャグもありという感じで、そういう作品を描かれている作家さんに非常に憧れを持っていました。ガチエロという方向では「天竺浪人先生」とか「米倉けんご先生」ですね。米倉先生はほぼデビュー時期が同じでしたからね。あと、熱っぽさに感化されたという点では「師走の翁先生」。

「もほらぶ」(著:上連雀三平)


「少年帝国」(著:後藤寿庵)


あ、あと「さらだまさき先生」の作品には、これは説明しにくいんですが、なんというか渇いた、投げっぱなしエロみたいな、エロシチュエーションだけどバサーっと切り取りましたという巧さですね! それがすごい憧れだったんです。

「ミルクシステム」(著:さらだまさき)




稀見:「カラフルBee」から「マショウ」に移る間、少しマンガを描くモチベーションが下がった後、マショウで復活したときあたりに、先生の絵柄が一番変化したように見えたんですが、この辺は意識して絵柄を変えようとしたんでしょうか? 私は特に「目」の描き方が変わった気がしてたんです。

「魔翔」(三和出版)創刊当時は漢字だった。


にった:そうですね~。確かのその時期にいろいろと試行錯誤はしていたとは思うんです。ただ、私の中で明確に(描く)方法論を変えたという事はなかったので、意識的に変えたという事はないですね。

あと、続けて描いていくにあたって、毎回違うキャラクターを作らなければいけなくなってくるので、その都度いろいろ描き分けていたら、こういう感じに変化してきたのかもしれませんね(^_^;

まー多少は、編集さんや読者さんからの指摘で、おかしい!というのがあると、変えようとは思いますね(^_^;



■人の心の動きがリアルなんだ!

稀見:他の出版社(三和さん以外)からのオファーはありましたか?
にった:実は、オファーを頂いた事はあったんですが、どう返事していいかワタワタしている間に、そのままになってしまったという事はありました…(^_^;
稀見:それは「キモーイガールズ」のブレイク後ですよね?
にった:そうですね。出来れば、お会いして繋がりを持っておく事は、この業界にいたら必要な事だとは思うんですが、複数の出版社でお仕事をするときに、作品に対してバランスを崩してしまう事はやっぱりまずいので、そう思うと自分にはそんな事ができるんだろうか?って思って、今の時点では「すいません出来ません」という状態ではあります(^_^;
稀見:単行本のタイトルにはいつも「童貞」という言葉が入っていますが、全部が童貞ものというわけではなく、最近は意欲的にいろんなタイプのマンガを描かれている感じがしますが? 
にった:ただでさえワンパターン!って言われているので、そこは何とか膨らまさないと(^_^; 

自分でも同じ事を繰り返す事に飽きてしまうので、少しずつは変化を加えてやってきてはいるんです。編集さんからは、初期の頃に回帰したものも久しぶりにやってみませんか? 

という提案があったりもしますが、自分の中で「これは同じ事の繰り返し」だと思っちゃうと、そのネーム自体に魅力を感じなくなっちゃうので、自分の中で、何か新しいものを出していきたいとは思ってます(^_^;



「奪!童貞」の頃が一番勢いがあったと言われるんですが(笑) あの頃の自分とは違うので、もう同じ事はできないと。なので、今関心があって興味のある方面に行きますね(^_^;
稀見:そういう意味では、最近読んだ中でブログに自分のマンコを載せている女の子と、すごい垢抜けたクラスメイトの男の子の話が好きでしたね。富岡さんでしたっけ?

「富岡さんのブログ」(「恋する童貞」収録)


にった:ああ~この富岡は、群馬の富岡製紙工場の「富岡さん」ですね。男の子が下仁田ネギの「下仁田くん」、クラスメイトに「高崎さん」「前橋さん」とか(笑)


この話は、よくニュースになる中高性の女の子がブログやプロフで自分の裸の写真とかをだしちゃったりする事件?が実際にあると、にったじゅんワールド的にはこういう行為は普通にやってもらわないと(笑)
稀見:「にったワールド」は、もう最初からレンジ(数値の幅)の桁数が違うというか、そういう公理で出来た世界なので、こちらから見たら異次元なんだけど、その世界の住人はみなさんそれが普通として生活している感じですよね(^_^; でも、そのレンジにこちら側があわせていかないといけないという(笑)

1年半で1500人斬り! 1日2人斬りのノルマ(笑)


にった:読者さんに「オイオイ、そりゃないよ!」と思ってもらう方が印象が強いですね(^_^;



私なんかが引き合いに出すのはあまりにもおこがましいんですが、有名な映画の脚本家の方が以前テレビのインタビューで「リアリティーとは、設定などがリアルという意味ではなくて、人の心の動きがリアルなんだ!」とおっしゃってたのを聞いたような気がします。なので、もちろんにったマンガは設定はむちゃくちゃなんですが(笑)そういう心の動きはちゃんとしたものを作れたらいいな~と(^_^;



SFとか時代劇は、現代劇では難しい設定を、この世界なら持って行けるだろうという事で作られるとは思うんですが、もちろんキャラクター達はその世界で一生懸命生きている訳なので、そこがリアリズムなんじゃないかと。
稀見:いやそう思いますよ。同じ「リアル」という言葉でも3次元と、2次元でも違うとは思います。でも、もし先生の作品の中の女の子が実際にいたらどう思います?(笑)
にった:その人から話を聞くだけなら、すごく萌えるんじゃないかと(笑)

昔から人の話を聞くのが好きというか…。中学校の時にクラスの中で少し仲間はずれにされていた女の子がいたんです。その女の子が、実は援助交際している!という話を聞いたんです、もちろん事実かどうかは知りませんが。その時は、性的に衝撃を受けたというよりは、もうそういう事をやっている子が身近にいるんだ!という衝撃の方が大きかったですね。

なんか、人からそういう話を聞いた方が想像力が広がるというか…。彼氏とそういう行動をするというよりは、おやじ相手にホテルに行った、みたいな話を聞いて非常に衝撃を受けましたね。
稀見:今までクラスメイトとして自分と非常に近い存在だったと思っていた人が、実は全然自分とは別次元にいたという衝撃ですよね?
にった:そうですね。ニュースなどで「援助交際」が話題になると、同じクラスメイトの童貞達はすごいショックだろうな~と思うんですよ(^_^;
稀見:それが、いかにもやってそうな女の子じゃなくて、実は本当に普通の女の子だったりしたら余計ですよね。
にった:自分と同じ世界にいたと思っていた子が、実はそうだったと知るとすごいショックだったとは思いますね。直接ではないとは思うんですが、あの時受けたショックみたいのが、今の作品に影響している部分はあるとは思います。
稀見:先生の作品に登場する男の子って、まさに男の子で、よく考えたら比較的早めに童貞を失っている訳ですよね。最近は少し年齢の高めのキャラクターも出てますが、そういう意味では、羨ましい部分が大きいですよね。
にった:実は「高齢童貞」というジャンルもエロマンガとしては面白いと思いますし、いくつか描いてはいるんですが、実際の読者さん的に結構身につまされる話なのか、どうも評判が悪いみたいで(^_^;
稀見:あと、にった先生といえばやっぱり「性器描写」にすごく力を入れているな~という感じがするんですが。特に、ちょっとグロいですよね(^_^;
にった:ああ~(^_^; 

私的にはこんな普通の女性が、実はヤリマンでしかもこんなにグロマンという落差はツボな部分なんですよ(笑)

逆に、ヤリマンなのにこんなに綺麗なマンコみたいなパターンもあるんですが(笑)
でも、基本的にはグロマン好きですね(^_^; 
こんなになるまでやっちゃって、みたいな…。



でも、基本的には性器大好きです(爆笑)


稀見:最後にファンの方へのメッセージを!!
にった:これからもよろしくお願いします! やっぱ、エロ漫画サイコー!!




■インタビューが終わり…

今回のインタビューは、打ち合わせ無しの一発勝負だったので(普段は、事前に打ち合わせ等を行う事が多いです)今までに無い緊張感がありました(笑)
しかし、終わってしまえば非常に充実したインタビューが行えたかと…(^_^;

終了後はみんなで、にったじゅん先生の好きな中華料理を食べに行きました。もうすっかり緊張感も解け、今年のトレンドの「オトコの娘」について、私とRaTe先生、にった先生で話し合ったり、趣味の話でもありあがりました。あ、にった先生はもちろん「真っ裸」でしたよ(嘘)

5月中旬の池袋。貸し会議室での収録!



話は急に飛びますが、今回のおまけ画像です(笑)

にったじゅん先生の「キモーイガールズ」のキャラは実はさりげなくアニメ化されているのです。といっても、フルアニメではなくフラッシュアニメで、しかも非売品です(笑)
そもそも、三和出版さんの企画で、にったじゅん先生の単行本と、雑誌を買ってくれた方へのプレゼントとして制作されたDVDで、入手はかなり困難です(^_^;

というわけで、今回はそのアニメの中で例の名台詞の部分だけを抜粋して、おまけ動画として特典にしていみました。もし、興味があれば是非つぶやいてみてくださいね!





■同人誌ではブログでは載せられないあのことが…

というわけで、「にったじゅん先生インタビュー」の完全版は、同人誌「エロマンガノゲンバ Vol.3」に収録されています。
完全の記事の他に、豪華なゲストによるレポートマンガなどが盛りだくさんです!

エロマンガノゲンバ Vol.3


インタビューページの表紙


RaTe先生の「にったじゅん」レポート! ついに正体が!


同人誌で見ることは非常に希!「やながわ理央先生」マンガ!



■既刊本のお知らせ

以下のバックナンバーを委託中です。表紙をクリックしますと、内容が表示されますよ!

エロマンガノゲンバ Vol.3
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その他の現場!
  • 図書館の現場(国会図書館、米沢嘉博記念図書館)
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「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託販売中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 在庫がない場合もあります。書店委託は、定価より若干高めになります。

エロマンガノゲンバ Vol.1
2009年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
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現在絶版中です。今のところ再版の予定はありません。


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